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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生78巻6号

2014年06月発行

文献概要

特集 発達障害

障害特性に応じた支援のあり方―地域連携ネットワークによる支援

著者: 辻井正次12

所属機関: 1中京大学現代社会学部 2NPO法人アスペ・エルデの会

ページ範囲:P.378 - P.381

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はじめに

 この小論では,発達障害の障害特性に応じた支援のあり方を,自閉症スペクトラム(autism spectrum disorder;ASD)を中心に,特に地域連携ネットワークの位置づけも含めて考えていきたい.例えばASDの場合,障害の特性に合った取り組みは不可欠で,中核となる社会性の障害のみならず,過敏性などの感覚障害なども含め,関係者が正しく障害特性を理解して対応することが非常に重要である.すでに,2005年より施行されている発達障害者支援法においても,障害に対する適切な対応は義務づけられている1)

 徐々に,社会的な共通理解形成が行われつつある一方で,現実には,まだまだ関係機関の連携や共通理解が十分に行われていない実態がある.ASDなどの障害特性の表れは発達段階で異なる部分もあり,幼児期を担う保育所や幼稚園,学齢期を担う小中高等学校,その後を担う障害者福祉(含む就労支援)で異なる理解や対応があり,生涯を通じた支援構築は容易ではない.そうした中では,母子保健や精神保健など,保健行政の枠組みで,生涯を通した側面的な支援の役割が期待されている.

参考文献

1)発達障害者支援法ガイドブック編集委員会(編):発達障害者支援法ガイドブック.河出書房新社,2005
2)伊藤大幸,他:保育記録による発達尺度(NDSC)の構成概念妥当性:尺度構造の検討と月齢および不適応問題との関連.発達心理学研究24(2):211-220, 2013
3)中島俊思,他:保育記録による発達尺度の作成とその項目分析および信頼性の検討.小児の精神と神経50(4):385-398, 2010
4)大西将史,他:保育記録による発達尺度の標準得点(2):活動領域,対人領域および情緒領域の検討.小児の精神と神経51(3):247-259, 2011
5)谷伊織,他:保育記録による発達尺度の標準得点(1):生活領域,言語領域および運動領域の検討.小児の精神と神経51(3):231-245, 2011
6)Ito H, et al:Validation of an interview-based rating scale developed in Japan for pervasive developmental disorders. Research in Autism Spectrum Disorders 6(4):1265-1272, 2012
7)中島俊思,他:3歳児健診における保健師によるPARS短縮版活用の可能性と課題.小児の精神と神経53(1):47-57, 2013
8)中島俊思,他:乳幼児健診における発達障害の客観的スクリーニング方法導入の意義と可能性.月刊地域保健44(1):49-61, 2013
9)中島俊思,他:3歳児健診における広汎性発達障害児早期発見のためのスクリーニングツールPARS短縮版導入の試み.精神医学54(9):911-914, 2012
10)辻井正次(監修):発達障害児者支援とアセスメントのガイドライン.金子書房,2014
11)辻井正次:発達障害のある子どもたちの家庭と学校.遠見書房,2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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