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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生78巻6号

2014年06月発行

文献概要

特集 発達障害

発達障害児の家族への支援

著者: 井上菜穂1 井上雅彦2

所属機関: 1鳥取大学医学部脳神経小児科 2鳥取大学大学院医学系研究科臨床心理学講座

ページ範囲:P.402 - P.405

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はじめに

 発達障害者支援法(2005)の第13条には発達障害者の家族に対する支援の必要性が明記されている.しかしながら,家族の支援ニーズは子どもの障害の程度や養育環境だけでなく,ライフステージによっても変化し,診断時期によっても異なってくる.特に発達障害の場合,障害が疑われてから診断を受けるまでの時間が他の障害に比べても長い1)ことや,診断時期も大きな個人差があることが特徴であり,この時間差はさまざまなニーズの違いを生む.例えば幼児期に診断を受けた場合と不登校など何らかの不適応状態によって学齢期以降に診断を受けた場合では,親の障害理解や受けとめも大きく異なってくる.本稿では紙面の関係から,主として親を中心とした,ライフステージごとのニーズと支援について概説する.

参考文献

1)相浦沙織,他:発達障害児をもつ母親の心理過程―障害の疑いの時期から診断名がつく時期までにおける10事例の検討.目白大学心理学研究3:131-145, 2007
2)永田雅子:就園前の子どもの親の抑うつと育児ストレスの検討.発達障害児に対する有効な家族支援サービスの開発と普及の研究.厚生労働省科学研究費補助金,2007
3)野邑健二:高機能広汎性発達障害児・者の母親の精神的健康への対応について.発達障害児に対する有効な家族支援サービスの開発と普及の研究.厚生労働省科学研究費補助金,2007
4)芳賀彰子,他:軽度発達障害児を養育する父母の心身のストレスについて.心身医学49(11):1216, 2009
5)山岡祥子,他:高機能広汎性発達障害児・者をもつ親の気づきと障害認識―父と母との相違.特殊教育学研究46(2):93-101, 2008
6)新美明夫,他:学齢期心身障害児をもつ父母のストレス.特殊教育学研究23(3):23-34, 1985
7)住田正樹,他:父親の育児態度と母親の育児不安.九州大学大学院教育学研究紀要2:19-38, 1999
8)井上菜穂,他:発達障害の家族支援の第一歩―鳥取県におけるペアレントトレーニングの取り組み.月刊地域保健44(4):60-67, 2013
9)松尾理沙,他:発達障害児の親を対象としたPTの実態と実施者の抱える課題に関する調査.小児の精神と神経52(1):53-59, 2012
10)松尾理沙,他:思春期の発達障害児を持つ親のためのペアレント・トレーニングプログラムの開発.発達研究(発達科学研究教育センター紀要)26:185-190, 2012
11)井上雅彦,他:ペアレント・メンター入門講座 発達障害の子どもをもつ親が行なう親支援.学苑社,2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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