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特集 超高齢社会―大都市の高齢者支援の課題
超高齢社会における高齢者の医療・介護体制の現状と将来ビジョン
著者: 松田晋哉1
所属機関: 1産業医科大学公衆衛生学教室
ページ範囲:P.606 - P.611
文献購入ページに移動今後のわが国における高齢者問題としては,都市における高齢者数の増加が大きな課題となる.図1と図2は名古屋医療圏について国立社会保障・人口問題研究所の推計人口をグラフ化したものである.図2の人口ピラミッドからも明らかなように,名古屋医療圏では今後急速に高齢化と少子化が進んでいく.ここで注目される点は図1から明らかなように,団塊の世代が後期高齢者に達する2025年以降は急速に人口が減少していくことである.しかも,名古屋医療圏では10代から20代前半の人口流入は2020年以降も続くが,75歳以上の死亡数が大幅に増えることで人口が大きく減少する多死社会になるのである.
フランスや北欧諸国が1990年代から積極的に団塊ジュニアにおける合計特殊出生率向上を念頭に少子化対策を積極的に行ったのに対し,わが国はバブル崩壊後の経済不況もあり,この年代を対象とした有効な少子化対策を行うことができなかった.そのために,今後多少なりとも有効な少子化対策を行ったとしても,増加する高齢世代を支えるだけの若年人口の確保を行うことは難しい.
少子化の進展は医療介護の担い手となる労働者の確保を困難にする.特に居住コストの高い都市部において,他職種と比較して賃金で恵まれていない介護職を十分量確保することは難しいだろう.人的資源に限界があるのであれば,限られた人材で効率的にサービスが提供できるようなシステムづくりを行う必要がある.地方に比較してインフォーマル部門の弱い大都市においてはフォーマル部門の効率性を大幅に高めることが必要となる.
本稿では上記のような問題意識から超高齢社会において,大都市ではどのような医療・介護体制が必要なのかについて私論を述べてみたい.
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