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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生79巻10号

2015年10月発行

文献概要

特集 たばこ対策

タバコ規制と法制度

著者: 田中謙1

所属機関: 1関西大学法学部

ページ範囲:P.670 - P.674

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タバコ規制の法制度と本稿の射程
 日本において,現在,タバコに対して何らかの規制をしている法律としては,「未成年者喫煙禁止法」(1900年策定),「たばこ事業法」(1984年)(もっとも,同法は,規制というよりはタバコを推進している面が強い悪の元凶である),「たばこ税法」(1984年),「労働安全衛生法」(1972年制定,1992年,2014年改正)などがあげられ,最近では,「健康増進法」(2002年)も策定されたほか,世界レベルの「たばこ規制枠組条約(以下,FCTC)」(2003年採択,2005年効力発生)も採択された.また,現在,多くの自治体で,いわゆる「路上喫煙禁止条例」(2002年以降,各地で策定)が策定されるようになったほか,神奈川県や兵庫県では,「受動喫煙防止条例」(2009年,2012年)が策定されている.このように見てみると,日本も一昔前と比べると状況はかなり変化したが,FCTCの趣旨を踏まえれば,日本においては,タバコに対する「行政的規制」のさらなる強化は必要不可欠である.
 本稿では,「喫煙の自由」と「非喫煙者の権利」の内容を踏まえたうえで,「日本において,どのような行政的規制をすべきか」という視点から,タバコ規制をめぐる現行の法制度を踏まえつつ,「タバコ規制をめぐる今後の法制的課題」を提示することとしたい.

参考文献

1)阿部泰隆:喫煙権☆嫌煙権☆タバコの規制(下).ジュリスト725号,1980,p111以下
2)深町晋也:路上喫煙条例・ポイ捨て禁止条例と刑罰論.立教法学79号,2010,p74以下
3)阿部泰隆:やわらか頭の法戦略—続・政策法学講座.第一法規,2006,p231
4)というのも,「Aその他B」となっていれば,AとBは並列関係にあり,例示関係ではないが,「Aその他のB」とあるときは,AはBの例示であり,Bに含まれるからである.「年齢ノ確認」は「必要ナル措置」の例示にすぎず,「必要ナル措置」の中に含まれるからである.
5)前掲書3),阿部,p220以下
6)例えば,メビウスは,2015年7月1日現在,1箱20本入で430円であるが,その税額は276.73円〔内訳:国たばこ税106.04円(24.7%),地方たばこ税122.44円(28.5%),たばこ特別税16.40円(3.8%),消費税31.85円(7.4%)〕である.
:Cnossen S(ed):Theory and Practice of Excise Taxation. Oxford University Press, 2005, pp33-46.このほか,荒井一博:喫煙と禁煙の健康経済学.中央公論新社,2012,p116以下も参照.
:Rabin RL, et al(eds):Regulating Tobacco. Oxford University Press, 2001, pp78-83

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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