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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生79巻11号

2015年11月発行

文献概要

特集 食品の安全と安心をめぐる話題

食品トレーサビリティシステム

著者: 福田伊津子1 大澤朗1

所属機関: 1神戸大学大学院農学研究科 食の安全・安心科学センター

ページ範囲:P.753 - P.757

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トレーサビリティの目的と概要
 食の安全性に対する不安要因としては,食品・農畜水産物が病原体(異常プリオン,鳥インフルエンザ,SARS,腸管出血性大腸菌O157:H7,コレラ等)や有害化学物質(農薬,抗生物質,ダイオキシン類等)によって汚染されること,また食品・農畜水産物の規格が偽装表示されること等が挙げられる.現在,わが国は食の供給を海外に強く依存しているが,これに加えて複雑多岐な流通システムによって「農場から食卓まで」のフードチェーン・サプライチェーンにおける介在者の顔や食品・農畜水産物の取り扱われ方がほとんど見えない状況にある.このような背景から,私たちの食卓に届けられる食品・農畜水産物の安全性について不安が増大している.
 食を取り巻く不安や危害が増大する中で,食品の追跡可能性(トレーサビリティ)を確保することは,食品による事故を未然に防ぐことや事故発生時に迅速に対応できるほか,表示の信頼性が向上することが期待され,私たちの食卓に届けられる食品・農畜水産物の安全性と信頼性の確保につながると考えられる.欧州連合(EU)やアメリカではすでに,全ての食品にトレーサビリティが実施されている.

参考文献

1)Principles for Traceability/Product Tracing as a Tool within a Food Inspection and Certification System, CAC/GL 60-2006. http://www.codexalimentarius.net/download/standards/10603/CXG_060e.pdf
2)農林水産省資料より:トレーサビリティ関係. http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trace/
3)厚生労働省資料より:HACCP(ハサップ). http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/haccp/
4)農林水産省食料産業局:平成26年度食品製造業におけるHACCPの導入状況実態調査,平成27年7月22日
5)「食品トレーサビリティシステム導入の手引き」改訂委員会:食品トレーサビリティシステム導入の手引き(食品トレーサビリティガイドライン),平成20年3月第2版第2刷
6)新山陽子(編):解説 食品トレーサビリティ,昭和堂,2010
7)平成20年度厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課委託(委託先:三菱総合研究所):食品の高度衛生管理手法に関する実態調査について.Ⅰ国外におけるHACCP手法等の導入状況に係る調査報告書,平成21年3月.http://www.mhlw.go.jp/topics/haccp/other/tiyousa.html

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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