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雑誌目次

雑誌文献

公衆衛生79巻12号

2015年12月発行

雑誌目次

特集 進めよう! COPD対策

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ページ範囲:P.821 - P.821

 健康日本21(第2次)では,対策を強化すべき疾患として新たに,慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD)が指定されました.COPDという疾患名は50年以上も前に提唱されたものです.しかし,最近提唱されたばかりのメタボ(内臓脂肪症候群)やロコモ(運動器症候群)と比べて国民の認知度は低く,健康日本21では「COPDの認知度の向上」を当面の目標として定めております.
 COPDの現状としては,診断率の低さも大きな課題といえます.国内での疫学調査(NICE study:2001年)によるCOPDの有病者数は530万人と推計されたのに対して,患者調査に基づく受療者数(COPDと診断され医師の管理下にある患者数)は20万人前後であり,最近10年間ほとんど変化がありません.

COPDの概念の変遷と対策の変化

著者: 永井厚志

ページ範囲:P.822 - P.828

 COPD(chronic obstructive pulmonary disease;慢性閉塞性肺疾患)はタバコ等の有害物質を長期間吸入することにより末梢気道病変や肺気腫が形成され,これらの病変が複合的に作用し恒常性の気流閉塞を示す疾患と定義されている.COPDの治療・管理に当たっては,多面的な病態像を示す本症を,いかなる観点から捕捉するかによって診療手順や内容が異なる.
 近年のガイドラインを渉猟すると,日本呼吸器学会が公表したガイドラインでは,COPDを気腫型と非気腫型に病型分類し,治療は呼吸機能や病状を複合的に把握したうえで重症度を決定し,それに応じたステップアップ治療を推奨している.国際ガイドラインGOLD(Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease)は,症状の程度と疾患進展のリスクを指標とし薬剤選択のあり方を示した.一方,スペインのガイドラインではCOPDの病型を肺気腫型,慢性気管支炎型,COPD-喘息合併型とし,それらの病型を基本にし,増悪頻度の程度による治療方針を示した.また,英国では気管支拡張症に対応するガイドラインのなかでCOPDを取り扱い,カナダでは持続する呼吸困難を軽減する手順書のなかでCOPDを取り扱っている.

COPDの病因・発症機序等を踏まえた予防戦略

著者: 鈴木雅 ,   猪又崇志 ,   西村正治

ページ範囲:P.829 - P.834

 慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD)は全世界での主要な死因の一つであり,また有病率や死亡率が将来上昇すると予測されている疾患である.日本では年間約1万7千人がCOPDによって死亡しており,さらに年余にわたり増加傾向である1).2000年に本邦で行われた疫学調査(NICE study)では,COPDの有病率は40歳以上では8.6%とされ,患者数は約530万人と推計された2).COPDはそれ自体が患者のQOL(quality of life)を低下させるのみに留まらず,死因の上位にある肺炎や肺癌の危険因子・背景疾患としても重要であり,医療経済の観点からも社会的な脅威となっている3)
 COPDは危険因子や病因の多くが明らかとなっており,本来的には定義上からも「予防可能」な疾患である4)が,その予防戦略は決して十分とは言えない.本稿では,COPDの危険因子や病因に加え,病態および発生機序の最新知見を概説するとともに,それらを踏まえたCOPD発症および増悪の予防戦略のあり方について提言する.

“肺年齢”を用いたCOPDの啓発

著者: 山口佳寿博

ページ範囲:P.835 - P.839

 喫煙関連疾患の中でCOPD(chronic obstructive pulmonary disease;慢性閉塞性肺疾患)と肺癌は高率に合併することが報告されている1〜3).近年施行された網羅的ゲノム解析(genome-wide association study;GWAS)によって,喫煙を環境因子とするCOPDと肺癌には疾患感受性遺伝子において多くの共通路が存在することが示された4,5).即ち,“COPDは肺癌の発生母地”になるという古典的,疫学的事実が遺伝子レベルで検証されたことになる.以上の事実は,スパイロメトリーによってCOPDを診断することは将来の肺癌発生を予測することにつながり,スパイロメトリーを基礎とした呼吸機能検査は従来考えられていた以上に重要な意義を有することを意味する.しかしながら,一般喫煙者に一秒量(FEV1)を中心とする呼吸機能検査値をそのまま提示しても十分なる理解を得ることは難しい.
 そこで,ある個人のFEV1が測定された時,その値をFEV1の正常基準値を与える回帰式(年齢と身長が説明変数)に代入し,年齢を“肺年齢”として逆算する方法が1985年Morrisら6)によって提唱された(Morris原法).本邦においては,日本呼吸器学会肺年齢普及推進事務局が中心となって,2008年にMorris原法の普及が図られ,現在では種々のスパイロメトリー測定機器にMorris原法に基づいた肺年齢計算式が組み込まれている7).Parkesら8)は,喫煙者に対して呼吸器機能検査値をそのまま伝えた場合と肺年齢に変換して伝えた場合を比較し,後者における禁煙率が有意に高いことを示した.さらに,肺年齢は,COPDの包括的管理ツール9),あるいは,病的肥満に起因する肺の加齢現象の評価10)などに用いられてきた.

地域におけるCOPDの早期発見方策

著者: 窪田幸司 ,   寒川卓哉 ,   井上博雅

ページ範囲:P.840 - P.844

 厚生労働省の2013年人口動態統計によれば,日本人の慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD)による死亡者数は約1.6万人で,全体としては増加傾向にある.その死亡順位は全体で第9位であり,今後も順位が上がることが予想されている.
 2000年に実施された本邦の疫学研究であるNippon COPD Epidemiology(NICE)studyでは,スパイロメトリーを用いて閉塞性肺疾患の有病率が検討され,40歳以上の人口全体の8.6%にあたる約530万人がCOPD患者であると推定された.そのうち,COPDの診断をすでに受けていたのは9.4%のみであり,実際のCOPD患者の約90%が診断されていないことが注目された1)

COPD患者の自然経過と治療効果

著者: 一ノ瀬正和

ページ範囲:P.845 - P.848

 慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD)は,通常緩徐に進行性の疾患である.「COPDの進行性」とは病理変化で言えば肺胞破壊(気腫化)および気管支内腔の狭小化が進むことであり,臨床上は呼吸器の検査での閉塞性障害の指標である一秒量(FEV1)の低下で判断される1,2)
 近年,わが国はもとより世界的に,COPDは予防と治療が可能な疾患とみなされるようになってきた1,2).その論拠として,COPD治療薬の改良,具体的には薬効の長時間作用性化,吸入デバイスの改良等が挙げられる.加えて,COPDに対する薬物介入の大規模試験で,薬剤の症状改善効果はもちろん,疾患進行や増悪頻度といったCOPDの自然歴に影響を与え,死亡率まで低下させる可能性が示唆された点が挙げられる.

COPD患者の身体活動性の向上と呼吸リハビリテーション

著者: 塩谷隆信

ページ範囲:P.849 - P.854

COPDの身体活動性の低下と生存率
 身体活動(physical activity)とは,日常生活活動と運動を合わせたものである1〜3).身体活動は,安静レベル以上のエネルギー消費に至る骨格筋の活動によってもたらされるすべての身体的の動きであり,運動,家事や仕事などあらゆる活動が含まれる3〜5).この中で運動(exercise)とは,計画にそって行われる身体活動であり,健康状態を高めることや体力向上,楽しみなどを意図として構成された身体の動きをさす.こうした運動には,速歩,ダンス,エアロビクス,ジョギング.テニス,サッカーなど多くの種目が属している1〜3)
 近年,COPD(chronic obstructive pulmonary disease;慢性閉塞性肺疾患)患者では軽症であっても日常生活における身体活動性が低下していることが注目されている6,7).Copenhagen Heart Studyにおいては,20年にわたる追跡調査の結果,COPD患者の日常生活活動(activity of daily living;ADL)と初回入院および生存率が大きく相関することが報告されている8).この報告は,2,386人のCOPD患者における非常に長期間にわたる追跡調査であり,1週間に4時間以上歩行あるいは自転車に乗る習慣のある人はほとんど動かない人に比べて5年生存率において約20%,10年生存率において約30%高いことが指摘されている.

在宅酸素療法を受けている慢性呼吸器病患者の災害脆弱性と対応策

著者: 藤本圭作

ページ範囲:P.855 - P.859

慢性呼吸器疾患患者の災害時脆弱性
 先の東日本大震災においては,在宅酸素療法(home oxygen therapy;HOT)を受けている患者が,酸素機器が破損や停電で使用できず,多くのHOT患者(HOT難民)が医療機関に酸素を求めて殺到しパニックになったことは記憶に新しい1).また,慢性疾患患者の薬が供給できず悪化を来した例も多い.当時,HOT患者の酸素供給が断たれることの重大性について社会的な認識はなく,患者会の訴えによりようやく認識されることとなった2).また,震災による津波,震災直後の劣悪な居住環境,大気汚染,薬の供給停止は肺炎の発症,慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD)および喘息の増悪につながった3〜5).さらに日常生活動作(activities of daily living;ADL)の減少や低栄養も肺炎の増加に拍車をかけた6).後方連携の病院に搬送された患者の約3分の1が呼吸器疾患であったと言われている.このように災害時には慢性呼吸器疾患,特に全国に推計17万人いるとされるHOT患者の災害時脆弱性が明らかとなった.われわれは東日本大震災の教訓を生かして災害時対策を徹底する必要がある.

在宅酸素療法患者の危機管理とQOL改善支援—在宅医療機器業者の立場から

著者: 冨森浩二

ページ範囲:P.860 - P.864

 現在,わが国の在宅酸素療法患者数は推計約16万人,うち約半数はCOPD(chronic obstructive pulmonary disease;慢性閉塞性肺疾患)が基礎疾患と報告されている.COPDについては,診断と治療のためのガイドラインが発行され,健康日本21などを通じて疾患啓蒙も進みつつあり,早期発見・早期治療や呼吸リハビリテーションなどによって重症化を防ぐ努力がなされており,これらの活動が奏功することは強く期待される.しかしながら,最近10年間を見ても,在宅酸素療法の患者数は毎年2〜3%程度の増加傾向は変わらず,重症COPD患者および家族のQOL向上を目指す医療として,在宅酸素療法の位置づけ,重要性は当面は変わらないものと考えられる.本稿では在宅酸素療法をより安心・安全に実施・継続していただくために,災害時対応を中心とした在宅医療機器業者の活動と今後の展望について紹介する.

視点

Health in All Politics

著者: 佐藤眞一

ページ範囲:P.818 - P.819

井川町の施策に学ぶ
 秋田県井川町の町長,齋藤正寧氏が今年の1月5日に亡くなった.一昨年に見つかった肺がんを公表し,化学療法を続けながらも闊達に公務を進め,9期目の最後となる12月議会を滞りなく終えていた.正月休みに体調を崩し,再入院と聞いたばかりの耳に訃報が届いた.葬儀は新築された井川中学校体育館.今後小学校を統合し,町民体育館としての機能も果たす建物だ.日本初の認定こども園である町立井川こどもセンターは,隣接する介護保健施設との交流が盛んだし,webカメラで親族がいつでもこどもの様子を見ることができる.町とは町民であり,彼らの身体的・精神的・社会的な健康を,出生から死亡まで,途切れず支えることが行政だと,齋藤氏は行動をもって示してくれた.
 井川町の健康づくり施策の成果は,CIRCS(Circulatory Risk in Communities Study)1,2)として報告してきた.少子高齢化が早くから進んだ農村部の町だから,社会保障費のウエイトも早くから増した.それでも周囲の町村より老人医療費の伸びを抑制できていること3),保健事業費が大きくても総費用は節約となっていること4)を示すこともできた.

連載 いま,世界では!? 公衆衛生の新しい流れ

結核,COPDの世界の現状—求められる個別疾患対策を超えたアプローチ

著者: 小野崎郁史

ページ範囲:P.865 - P.869

 世界保健機関(WHO)本部(写真1)では定期的にテーマ展示がなされていますが,この秋のテーマは大気汚染です(写真2).メインロビーでのエボラ対策に貢献する医療スタッフを称える特設写真展と並び,「きれいな空気を吸いたい」が呼びかけられています.中国やインドの都市の大気汚染は,しばしばマスコミでも取り上げられていますが,この8月の北京における世界陸上の際のマラソン中継では驚くほど美しい青空が見られました.さまざまな健康問題の解決には,政治的な強い意志が必要なことの象徴とも思えます.
 本稿では,2015年までの国連開発目標関連課題である結核対策に携わった呼吸器科医の視点から,開発途上国におけるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の課題を考えてみます.

基礎から学ぶ楽しい保健統計・15【最終回】

一致性の観察

著者: 中村好一

ページ範囲:P.870 - P.875

point
1.カッパ統計量は質的データの一致度の評価に用いる.
2.クローンバックのα係数は複数の選択肢を持つ質問の回答の一貫性の評価に用いる.
3.カッパ統計量もクローンバックのα係数も絶対的な判断基準ではない.
4.一致率や相関係数は一致の評価に参考にはなるが,完全なものではない.

[講座]子どもを取り巻く環境と健康・10

乳幼児のアレルギーと胎児期・小児期の可塑剤・難燃剤曝露

著者: 荒木敦子 ,   アイツバマイゆふ ,   岸玲子

ページ範囲:P.876 - P.881

 連載第9回で宮下らは,世界各国でのアレルギー疾患の有病率の増加および発症の低年齢化の原因の1つとして,ダイオキシン類や有機フッ素系化学物質など残留性有機汚染物質(POPs)曝露による影響について述べた.本稿では,乳幼児のアレルギーの一因として,可塑剤・難燃剤として多くの日用品に汎用されているフタル酸エステル類・リン酸トリエステル類曝露による影響について,最近の科学的知見を紹介する.

リレー連載・列島ランナー・81

適正なアルコール習慣について考える

著者: 渡會洋子

ページ範囲:P.882 - P.885

米どころ庄内! お酒もおいしい
 庄内地域は,山形県の北西部に位置し,日本海に面し,北に秀峰「鳥海山」,東に信仰の山「出羽三山(月山,湯殿山,羽黒山)」,南は「朝日連山」に囲まれ,本県の母なる川「最上川」と,鳥海山系を源とする「日向川・月光川」,月山山系を源とする「赤川」が流れる自然豊かなところです.気候は,対馬暖流の影響を受け,内陸部よりも温暖で降雪量も少ないものの,年間を通して風が強く,特に冬は映画「おくりびと」にみられるように,北西の季節風による地吹雪と呼ばれる風雪が発生します.
 また,米どころ庄内の歴史は,400年昔にさかのぼります.肥沃な土と豊富な水,最適な気候に恵まれたこの地は,領主酒井公により,当初から「日本を支える米倉」として全国にその名を馳せて,その米を使った酒造りも盛んで,現在でも酒蔵も20軒ほどあり,日本酒をはじめ焼酎といった多様な酒もたくさんあります.

予防と臨床のはざまで

さんぽ会夏季セミナー「SPK48劇場」

著者: 福田洋

ページ範囲:P.886 - P.886

 このコラムで何度も紹介している多職種産業保健スタッフの研究会,さんぽ会(http://sanpokai.umin.jp/)ですが,例年9月はじっくり時間をとって夏季セミナーを開催しています.今年は,国立がんセンター中央病院糖尿病・代謝内科の大橋健先生を講師に招き,「産業保健劇場inさんぽ会(SPK48劇場)」と題して,産業保健現場における相手をその気にさせるコミュニケーションについて研修を行いました.大橋健先生は,糖尿病学会等での寸劇を通じた患者さんとのコミュニケーションを考える「糖尿病劇場」や,実践的なロールプレイを用いた研修が大好評の方です.糖尿病患者教育や,保健指導の分野で大変有名なその手法が,産業保健分野にも適用できたら素晴らしい! という世話人の発想から,この企画は進みました.
 この日のために,世話人は半年以上前から準備を開始して何度も打ち合わせを行い,大橋先生とも連絡を密に取りながら,綿密なスケジュール案や小道具の準備を行ってきました.当日の朝,会場の池袋生活産業会館プラザに行ってみると,世話人と産業保健に興味ある学生がSPK48お揃いのTシャツを着て,気合十分で出迎えてくれました.都内直下型の地震で会場エレベータが止まるというハプニングにもめげずに,文字通り48人の産業保健スタッフが参加し,セミナーが始まりました.

映画の時間

—セーヌ川のほとり 人生はめぐり逢う—パリ3区の遺産相続人

著者: 桜山豊夫

ページ範囲:P.887 - P.887

 風采の上がらない中年の,というか初老にさしかかったアメリカ人の主人公マティアス(ケヴィン・クライン)がパリにやってきます.父親が亡くなって,パリにあるアパルトマンを相続し,物件を確認しにパリを訪れたようです.最後の貯金をはたいて,パリ行きの片道航空券を買って,やっとの思いでたどり着いた先は,庭付きの高級アパート.そこには90歳になる老婦人マティルド(マギー・スミス)が暮らしていました.マティルドとマティアス,何故か似た名前の二人ですが,主人公はそこで驚きの事実を伝えられます.相続した物件は,フランス語でヴィアジェ(viager)と呼ばれる物件です.もともとは終身年金と言うような意味ですが,フランスにある独特な売買形態です.
 家賃の支払いを期待する主人公に,老婦人マティルドは言います.「家賃というか,年金みたいなもの.少しの頭金でアパートが買える.あとは毎月定額を払い続ける.売り主が死ぬまで,ずっと」つまり,売り主が死なない限りアパートは買主のものにはならない,ということです.ちなみに,最初に支払う一時金をブーケ(bouquet),毎月支払われる一定額をレント(rente)と言います.レントが終身年金と同様であることからヴィアジェと呼ばれるのでしょう.

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次号予告 フリーアクセス

ページ範囲:P.889 - P.889

あとがき/投稿申し込み書/著作財産権譲渡同意書 フリーアクセス

著者: 阿彦忠之

ページ範囲:P.890 - P.890

 健康日本21(第2次)の目標をみてもわかるように,COPD対策の大きな課題は,認知度の低さです.やや複雑な疾患概念(末梢気道病変や肺気腫病変が複合的に作用し恒常性の気流閉塞を示す疾患)を簡単な病名で表すのは難しいと思います.しかし,認知度を向上させるためには,医学用語ではなく通称でかまわないので,高齢者にもわかりやすい名称が必要です.例えば肺気腫病変を前面に出した例として,「肺スカスカ病」や「肺粗鬆症」などがみられます.メタボやロコモのように,名称が疾患概念を忠実に表現していなくても,予想以上に認知度が高まったという好事例がありますので,国民向けの新しい名称を提案すべきと思った次第です.
 血圧計や心電図などと比べて,スパイロメトリーが身近な検査となっていないことも課題です.加えて,この検査結果を「肺年齢」というわかりやすい指標に変換する際の計算式にも課題があることがわかりました.

基本情報

公衆衛生

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1170

印刷版ISSN 0368-5187

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