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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生79巻12号

2015年12月発行

文献概要

特集 進めよう! COPD対策

COPD患者の身体活動性の向上と呼吸リハビリテーション

著者: 塩谷隆信1

所属機関: 1秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻

ページ範囲:P.849 - P.854

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COPDの身体活動性の低下と生存率
 身体活動(physical activity)とは,日常生活活動と運動を合わせたものである1〜3).身体活動は,安静レベル以上のエネルギー消費に至る骨格筋の活動によってもたらされるすべての身体的の動きであり,運動,家事や仕事などあらゆる活動が含まれる3〜5).この中で運動(exercise)とは,計画にそって行われる身体活動であり,健康状態を高めることや体力向上,楽しみなどを意図として構成された身体の動きをさす.こうした運動には,速歩,ダンス,エアロビクス,ジョギング.テニス,サッカーなど多くの種目が属している1〜3)
 近年,COPD(chronic obstructive pulmonary disease;慢性閉塞性肺疾患)患者では軽症であっても日常生活における身体活動性が低下していることが注目されている6,7).Copenhagen Heart Studyにおいては,20年にわたる追跡調査の結果,COPD患者の日常生活活動(activity of daily living;ADL)と初回入院および生存率が大きく相関することが報告されている8).この報告は,2,386人のCOPD患者における非常に長期間にわたる追跡調査であり,1週間に4時間以上歩行あるいは自転車に乗る習慣のある人はほとんど動かない人に比べて5年生存率において約20%,10年生存率において約30%高いことが指摘されている.

参考文献

1)杉本淳:身体活動量の測定—最近の進歩.リハビリテーション医学37(1):53-61, 2000
2)宮地元彦:特定健診・保健指導に向けての運動・身体活動指導.日本補完代替医療学会誌5(2):115-122, 2008
3)塩谷隆信,他:外来呼吸リハビリテーション—外来での適応と効果.medicina 52(9):1532-1537, 2015
4)塩谷隆信,他:呼吸リハビリテーションの新展開—身体活動の向上を目指して.日呼ケアリハ学誌24(2):237-245, 2014
5)塩谷隆信,他:3軸加速度計による身体活動の評価—新しい3軸加速度計システムを中心に—.日呼ケアリハ学誌25(2):174-179, 2015
6)Pitta F, et al:Characteristics of physical activities in daily life in chronic obstructive pulmonary disease. Am J Respir Crit Care Med 171(9):972-977, 2005
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19)Kawagoshi A, et al:Effects of low-intensity exercise and home-based pulmonary rehabilitation with pedometer feedback on physical activity in elderly patients with chronic obstructive pulmonary disease. Respir Med 109(3):364-371, 2015. doi:10.1016/j.rmed.2015.01.008. Epub 2015 Jan 29. PMID:25682543
20)川越厚良:安定期高齢COPD患者の身体活動量と呼吸リハビリテーション—3軸加速度計による解析と歩数計による介入効果.日呼ケアリハ学誌25(1):5-10, 2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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