icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生79巻2号

2015年02月発行

文献概要

特集 女性の健康を考える

女性の貧困と健康

著者: 本庄かおり1

所属機関: 1大阪大学グローバルコラボレーションセンター

ページ範囲:P.116 - P.120

文献購入ページに移動
 近年,長引く経済的停滞と経済格差の拡大に伴って貧困問題への関心が高まっている.特に最近では「女性の貧困」が取り上げられることも多い.貧困が健康に及ぼす影響についてはすでに多くの研究によって明らかにされており,貧困の健康影響の経路として貧困による物質的困窮に加えて社会的排除や心理的苦痛などの影響も報告されている.
 これまでに日本で実施された貧困と健康に関する研究の多くは仕事を失った男性を想定したものであった.しかし,実際には女性の貧困率は一般に想像されているより高く,その健康影響が懸念されている.そこで,本稿では女性の貧困と健康をテーマに,女性の貧困の現状を示しながら,貧困の背景とその健康影響について考えてみたい.

参考文献

1)厚生労働省:平成25年国民生活基礎調査の概況2013. http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa13/index.html
2)厚生労働省:平成24年版 労働経済の分析 —分厚い中間層の復活に向けた課題—2012.http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/12/
3)橋本健二:格差拡大とジェンダー—女性内部の格差拡大と貧困層の集積.女性労働研究51:26-40, 2007
4)厚生労働省:平成23年度全国母子世帯等調査結果報告2011.http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/boshi-katei/boshi-setai_h23/
5)橘木俊詔,浦川邦夫:日本の貧困研究.東京大学出版会,2006
6)OECD:OECD Education at a Glance 2013. Available from:http://www.oecd.org/edu/eag.htm
7)Lynch J, Kaplan G:Socioeconomic position. In:Berkman LF, KawachiⅠ (eds):Social Epidemiology. pp.13-35, New York:Oxford University Press, 2000
8)労働政策研究・研修機構:2013 Databook of International Labour Statistics. Available from:http://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/databook/2013/documents/Databook2013.pdf
9)総務省統計局:労働力調査2014.http://www.stat.go.jp/data/roudou/
10)NHK放送文化研究所(編):現代日本人の意識構造[第7版].NHK出版,2010
11)大石亜希子,守泉理恵:少子化社会における働き方.樋口美雄,府川哲夫(編):ワーク・ライフ・バランスと家族形成.東京大学出版会,2011
12)内閣府:男女共同参画白書 平成25年度版,2013
13)OECD:OECD Employment Outlook 2013. http://www.oecd.org/els/emp/oecdemploymentoutlook.htm
14)白波瀬佐和子:少子高齢社会のみえない格差.東京大学出版会,2005
15)厚生労働省.所得と生活習慣等に関する状況.2010. http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000020qbb-att/2r98520000021c30.pdf
16)Fukuda Y, Hiyoshi A:Associations of household expenditure and marital status with cardiovascular risk factors in Japanese adults:analysis of nationally representative surveys. J Epidemiol 23(1):21-27, 2013
17)Honjo K, et al:Social class inequalities in self-rated health and their gender and age group differences in Japan. J Epidemiol 16(6):223-232, 2006
18)Saito M, et al:Relative Deprivation, Poverty, and Subjective Health:JAGES Cross-Sectional Study. PloS ONE 9(10):e111169, 2014
19)Kachi Y, et al:Differences in Self-rated Health by Employment Contract and Household Structure among Japanese Employees:A Nationwide Cross-Sectional Study. J Occup Health 56(5):339-346, 2014
20)阿部彩:子どもの健康格差の要因—過去の健康悪化の回復力に違いはあるか—.医療と社会22(3):255-269, 2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら