公衆衛生79巻4号

2015年04月発行

特集 危険ドラッグ対策

日本における薬物乱用問題の変遷とその背景—「危険ドラッグ」問題に焦点をあてて

著者： 和田清¹

所属機関： ¹国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部

ページ範囲：P.222 - P.227

　2014年6月の「脱法ハーブ」吸引者による東京・池袋での自動車運転死傷事故は，「脱法ドラッグ」問題の今日的問題性の象徴として世間を震撼させた．その7月，警察庁と厚生労働省とは公募まで行って，呼称を「危険ドラッグ」に変えるまでに至った事実は異例としか言いようがない．
　本稿では，今日的「危険ドラッグ」問題に焦点をあてて，わが国における薬物乱用問題の変遷と現状について紹介したい．

参考文献

1)和田清：マジック・マッシュルームの幻覚作用．日本医事新報3978:110-111, 2000

2)和田清，他：脱法ハーブを含む「脱法ドラッグ」乱用とその実態．精神科22(1):26-32, 2013

3)和田清：第Ⅱ章　薬物乱用・依存の歴史と現状．依存性薬物と乱用・依存・中毒．pp17-36，星和書店．2000

4)和田清：薬物乱用の現状と歴史．神経精神薬理19(10):913-923, 1997

5)和田清，他：薬物乱用・依存の今日的状況と政策的課題．日本アルコール・薬物医学会雑誌43(2):120-131, 2008

6)和田清，他：飲酒・喫煙・くすりの使用についてのアンケート調査(2013年)．平成25年度厚生労働科学研究費補助金(医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究事業)「脱法ドラッグ」を含む薬物乱用・依存状況の実態把握と薬物依存症者の「回復」とその家族に対する支援に関する研究(H25-医薬-一般-018，研究代表者：和田清)研究報告書．pp17-94, 2014

7)和田清，他：飲酒・喫煙・薬物乱用についての全国中学生意識・実態調査(2012年)．平成24年度厚生労働科学研究費補助金(医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究事業)薬物乱用・依存等の実態把握と薬物依存症者に関する制度的社会資源の現状と課題に関する研究(H23-医薬-一般-014，研究代表者：和田清)研究報告書．pp17-95, 2013

8)松本俊彦，他：全国の精神科医療施設における薬物関連精神疾患の実態調査．平成24年度厚生労働科学研究費補助金(医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究事業)薬物乱用・依存等の実態把握と薬物依存症者に関する制度的社会資源の現状と課題に関する研究(H23-医薬-一般-014，研究代表者：和田清)研究報告書．pp111-144, 2013

9)和田清，他：わが国における薬物乱用・依存の最近の特徴．日本社会精神医学会雑誌20(4):407-414, 2011