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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生79巻4号

2015年04月発行

文献概要

特集 危険ドラッグ対策

精神科臨床からみた危険ドラッグ乱用の現状と課題

著者: 成瀬暢也1

所属機関: 1埼玉県立精神医療センター

ページ範囲:P.228 - P.232

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 危険ドラッグとは,大麻や覚せい剤などの中枢神経に作用する違法薬物に類似した性質をもち,法で規制されないように化学構造式の一部を変えた物質の総称である.この定義で考えると,危険ドラッグは無数に作り出すことができる.
 気分を高揚させたり落ち着かせたり多幸感を得たりする目的で乱用されるが,これまで人が摂取したこともなければ,動物実験さえ行われていないものを体内に入れているため,極めて危険であることは容易に想像できる.自ら人体実験をしている,と言われるゆえんである.さらに,規制されるたびに強力なものが新たに登場しており,わずか数年で非常に危険で粗悪な物質に変貌した.現在,わが国で最も危険な薬物と言っても過言ではない.また,多くの危険ドラッグは単剤ではなく複数の物質が混ぜ込まれている.興奮系と抑制系が同一商品に入っていることも多い.医療機関の検査で物質を同定することは不可能であり,症状を診て対症的に治療対応するしかなく治療的な困難も多い.

参考文献

1)松本俊彦,他:全国の精神科医療施設における薬物関連精神疾患の実態調査.平成24年度厚生労働科学研究費補助金(医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究事業)分担研究報告書.2012
2)成瀬暢也:症候・精神疾患に対する対応 薬物乱用・依存.特集 精神科救急の最新知識.臨床精神医学43(5):729-735, 2014
3)成瀬暢也:物質使用障害と行動嗜癖.水野雅文(編):重症化させないための精神疾患の診方と対応(精神科臨床エキスパート).pp171-178,医学書院,2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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