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公衆衛生のリーダーシップ
著者: 角野文彦1
所属機関: 1滋賀県健康医療福祉部
ページ範囲:P.290 - P.291
文献購入ページに移動「公衆衛生」とは何か.1986年に医師免許を取得し,公衆衛生医師として彦根保健所に赴任した.当時の上司が語った憲法25条の話が印象に残っている.生存権を定めた憲法25条は,「すべて国民は,健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する.国は,すべての生活部面について,社会福祉,社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」とうたう.公衆衛生とは,食物や空気,衣服,住居など生きていれば全てに関わるもの.国民の生存権に関わる非常に重みのある言葉なのだ.
しかし,近年,「公衆衛生」という言葉が世間から消えつつある.かつて行政に存在した公衆衛生課の多くは,生活衛生課や環境衛生課に名前を変え,大学医学部でも公衆衛生を学ぶ学生は少なくなった.なぜ,憲法に定められた言葉をもっと大切にしないのか.
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