icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生79巻5号

2015年05月発行

文献概要

特集 死因究明制度の現状と将来展望

日本の監察医制度の歩みと課題

著者: 松本博志1

所属機関: 1大阪府監察医事務所

ページ範囲:P.305 - P.310

文献購入ページに移動
監察医制度の発足
 日本の監察医制度は今年で70年目を迎えた.公式的な始まりは,1946(昭和21)年12月11日にGHQ(General Headquarters,連合国軍最高司令官総司令部)の公衆衛生福祉局長から日本政府厚生省(現厚生労働省)医務局長に対して,全国の主要都市に監察医局を設置する覚書を送達し,各主要都市に監察医を任命,常置するよう指令を出したことに始まる1,2)
 しかしながら,実務上はそれ以前に始まっている.東京都については,『東京都監察医務院50年史』によると,1945年11月18日付の朝日新聞に掲載された「始まっている『死の行進』餓死はすでに全国の街に」という記事から,GHQが朝日新聞社に対して実情調査を行ったことに端を発しているようである.その結果,11月23日以後は,飢餓,伝染病,栄養失調などによる死亡者に対して,GHQ厚生課員立会いの下で死体解剖を行って厳密な調査を実施すべき旨を東京都民生局に指令したとのことで,その後,東京都は「東京都変死者等死因調査規程」を制定し,東京大学および慶應義塾大学の法医学,病理学の両教室員に委嘱して,監察医務業務を1946年4月1日から開始した.東京都監察医務院が開設されたのは1948年3月21日であり,以前の大学委嘱は廃止され,専任監察医を3人おいて業務を開始した.

参考文献

1)吉村昌雄:監察医務50年の歩み(大阪府監察医事務業報).大阪府監察医事務所,1997
2)東京都監察医務院(編):医務院の50年.東京都監察医務院50年史.pp8-11,1998
3)厚生労働省:平成25年(2013)人口動態統計(確定数)の概況. http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei13/index.html
4)警察庁刑事局:司法解剖の実施.平成26年6月11日. http://www.npa.go.jp/yosan/kaikei/yosankanshi_kourituka/26review/pdf/26-22sannkousiryo.pdf
5)大阪府監察医事務所:平成24年(2012年)版大阪府監察医務死因調査統計年報.
6)東京都監察医務院:事業概要.平成26年版
7)兵庫県健康福祉部健康局医務課:平成25年(2013年)版兵庫県監察医務死因調査統計年報
8)松本博志:行政解剖とその魅力.病理と臨床32(7):754-757, 2014
9)平成21年度厚生労働科学研究費補助金(こころの健康科学研究事業)「心理学的剖検データベースを活用した自殺の原因分析に関する研究」研究報告書. http://ikiru.ncnp.go.jp/report/121022/index.html
10)竹島正,他:自殺の心理学的剖検の実施に関する研究.厚生労働科学研究費補助金(障害者対策総合研究事業)「自殺の原因分析に基づく効果的な自殺防止対策の確立に関する研究」分担研究報告書.pp25-31, 2013 http://ikiru.ncnp.go.jp/report/kenkyu24/2-1.pdf
11)竹島正,他:自殺の要因分析体制の確立に関する研究.平成25年度厚生労働科学研究費補助金(障害者対策総合研究事業)「自殺総合対策大綱に関する自殺の要因分析や支援方法等に関する研究」分担研究報告書. http://ikiru.ncnp.go.jp/report/kenkyu25/2-1-1.pdf

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら