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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生79巻6号

2015年06月発行

文献概要

特集 熱中症

すまいと熱中症

著者: 伊香賀俊治1

所属機関: 1慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科

ページ範囲:P.397 - P.400

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 2010年の猛暑で熱中症患者が急増し,東京都だけで2009年の6倍の4,679人が救急搬送された1).このうち41%が住宅内での事例であり,その72%が65歳以上の高齢者であった1).また,東京都監察医務院の報告2)によれば,高齢者の室内熱中症発生割合は猛暑だった2010年が78%であったのに対し,猛暑ではなかった2011年の方が87%に増大している.これは,東日本大震災に伴う電力需給のひっ迫による夏の節電対策で冷房を自粛する高齢者が増えたことも一因となっている可能性が示唆される.また,熱中症患者は外気温が高い昼間(5:00〜17:00)だけでなく夜間(17:00〜5:00)も同程度に多い.このことから本人も家族も気が付きにくい就寝中の熱中症にも注意を払う必要性が示唆される.
 本稿では,住宅内の具体的な発生場所,日常生活のどのような場面で発生しているのか,高齢者の住宅内熱中症発生の傾向,集合住宅と一戸建住宅との発生状況の比較,近年の住宅仕様の影響,住まい方による予防方法など住環境からみた熱中症とその予防について解説する.

参考文献

1)国立環境研究所 熱中症患者速報ホームページ
2)東京都監察医務院ホームページ
3)日本救急医学会熱中症検討特別委員会:熱中症の実態調査—Heatstroke STUDY 2006最終報告.日本救急医学会雑誌19(6):309-321, 2008
4)日本救急医学会熱中症検討特別委員会:本邦における熱中症の実態—Heatstroke STUDY 2008最終報告.日本救急医学会雑誌21(5):230-244, 2010
5)Gagge AP, et al:An effective temperature scale based on a simple model of human physiological regulatory response. ASHRAE Transactions 77(1):247-262, 1971
6)伊香賀俊治,他:高齢者が熱中症になりやすい住環境と注意点.老年医学52(5):505-511, 2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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