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特集 熱中症
スポーツと熱中症
著者: 川原貴1
所属機関: 1国立スポーツ科学センター
ページ範囲:P.401 - P.404
文献購入ページに移動熱中症は暑熱環境における体温調節,循環調節,体液調節などの破綻によって生じる.深部体温は環境温度が変化しても一定に保たれるようになっている.これは体内での熱産生と体表面からの熱放散が体温調節中枢によって平衡を保っているからである.体内での熱産生は化学的代謝過程で生じ,肝,筋が主な場となる.熱放散は輻射,伝導,対流,蒸発といった物理的過程で行われるが,前三者の効率は皮膚温と環境温の差が関係し,蒸発には湿度が関係する.
涼しい環境の運動では,熱放散はおもに輻射,伝導,対流によってなされるが,暑熱環境では,これらは効率が悪くなり,熱放散はもっぱら汗の蒸発に頼ることになる.したがって,暑熱環境の運動では発汗量が多くなり,水分補給をしないと脱水になりやすい.脱水では循環が悪くなるため熱放散の効率が低下し,うつ熱が生じやすくなる.湿度が高いと運動時の発汗量は多くなるが,蒸発して放熱に寄与する有効発汗量は減少し,熱中症になりやすい.
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