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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生79巻6号

2015年06月発行

文献概要

特集 熱中症

産業保健と熱中症

著者: 澤田晋一1

所属機関: 1独立行政法人労働安全衛生総合研究所

ページ範囲:P.405 - P.410

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 近年,日本の夏の平均気温は上昇傾向が続いている.2010年と2013年の夏は,記録的猛暑によって熱中症が多発した.その上2011年3月に起こった東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故により,職場の熱中症のリスクは,夏季における建設業を中心とした従来からの屋外作業のみならず,原発廃炉作業・除染作業,震災復旧・復興作業,節電を要請されるオフィスや製造業などの屋内作業にまで拡大している.このような状況への行政的対応として,2013年4月から始まった国の第12次労働災害防止計画では,取り組むべき重点課題として熱中症対策を明記している1)
 本稿では,まず職場における熱中症の最近の発生動向と発生事例の特徴を概説した上で,行政や実際の労働現場で取り組んできた熱中症予防策や取り組み事例を紹介する.また熱中症のハイリスクグループである有症労働者への対応としての健康診断や日常の健康管理の重要性,さらに職場の節電による熱中症への影響についても言及したい.

参考文献

1)厚生労働省:第12次労働災害防止計画(平成25年度〜29年度).2013 http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei21/dl/12-pamph.pdf
2)厚生労働省:平成26年の職場における熱中症予防対策の重点的な実施について.2014 http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T150227K0030.pdf
3)厚生労働省:職場での熱中症による死亡災害及び労働災害の発生状況(平成24年).2013 http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei51/
4)澤田晋一:わが国における職場の熱中症予防対策私論:現状と課題.保健の科学56(7):436-442, 2014
5)澤田晋一,他:熱中症予防対策のためのリスクアセスメントマニュアル—製造業向け.中央労働災害防止協会教育推進部,2015
6)澤田晋一,他:建設業等における熱中症の予防—指導員用テキスト.建設業労働災害防止協会,2011
7)斉藤一,三浦豊彦(編):労働と温熱条件—日本の高温労働の労働科学的研究.勝木新次博士還暦記念出版刊行会,1963
8)三浦豊彦:夏の暑さと健康.労働科学研究所出版部,1985
9)澤田晋一:節電によるオフィス温熱環境悪化の健康影響と対策.地方公務員安全と健康フォーラム25(2):6-10, 2015
10)澤田晋一:職場における熱中症の予防対策—防暑冷却装備の有効性と課題.セイフティダイジェスト59(7):2-10, 2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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