公衆衛生79巻7号

2015年07月発行

特集 感染症の新たな脅威

デング熱の国内感染—行政の対応，保健所の立場から

著者： 広松恭子¹

所属機関： ¹渋谷区保健所

ページ範囲：P.444 - P.448

　渋谷区では，2014年夏，東京都内一部地域で流行したデング熱への危機管理対応を行った．患者発生から蚊の活動がほぼ終了するまでの2カ月あまり，相談すべき専門家を探すことから始め，国，都の多大な協力を得て，連日のマスコミ報道の中，情報の収集，冷静な対応の呼びかけなどを中心に，医療体制の整備，蚊への対策等の対応を行った．
　2015年4月28日付で感染症予防法施行規則が改正され，蚊媒介感染症が，予防指針を作成し総合対策を推進する感染症として位置づけられた．当所でも対策の手引き¹⁾作成に協力した．こうした経験をふまえ，概要と，保健所の対応について報告する．

参考文献

1)国立感染症研究所：デング熱・チクングニア熱等蚊媒介感染症の対応・対策の手引き　地方公共団体向け．2015年4月28日

2)東京都福祉保健局：東京都蚊媒介感染症対策会議報告書．2014

3)国立感染症研究所感染症疫学センター：デング熱国内感染事例疫学情報．2014

4)忽那賢志，他：日本国内で感染した17例のデング熱症例．IASR 35:241-242, 2014

5)厚生労働省：デング熱診療ガイドライン(第1版)．2014年9月16日

6)気象庁：過去の地域平均気象データ

7)小林睦生，他：チクングニア熱媒介蚊対策に関するガイドライン．平成21年厚生労働科学研究費補助金　新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究事業．節足動物が媒介する感染症への効果的な対策に関する総合的な研究(国立感染症研究所昆虫医科学部)，2009

8)住宅地等における農薬使用に際しての遵守事項の指導ほか．平成25年4月26日付け　25消安第175号・環水大土発第1304261号，農林水産省消費・安全局長，環境省水・大気環境局長通知