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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生79巻8号

2015年08月発行

文献概要

特集 公衆栄養への期待

健康長寿を支えるための公衆栄養の科学と実践

著者: 佐々木敏1

所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科 社会予防疫学分野

ページ範囲:P.510 - P.516

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 食事改善は国民の健康を支えるための極めて重要な方策と見なされ,科学され,実践されてきた.20世紀半ばまでは栄養不足を中心とする時代であり感染症の時代であった.それが,20世紀後半に非感染性疾患(生活習慣病)の時代となり,わが国では深刻な食料不足がほぼ解決(または軽減)したこともあり,栄養問題は解決したかに見える.同時に,食品へのアクセスが向上し,栄養問題は「公衆」から「個」の時代に入ったようにも見える.
 しかし,これはごく一面からの偏った見方に過ぎない.生活習慣病は,(1)完治が期待できる治療法がほとんど存在しない疾患であり,(2)長年月のなかで徐々に進行する疾患であり,(3)その原因と考えられる栄養素は特殊なものではなく,ほぼ国民全員がほぼ毎日,一生にわたって摂取(=曝露)しているものである,そして,(4)特定の生活習慣病の原因と考えられる栄養素や食習慣のその疾患への影響力は比較的に小さい.

参考文献

1)佐々木敏:佐々木敏の栄養データはこう読む! 疫学研究から読み解くぶれない食べ方.女子栄養大学出版部,2015
2)Beaglehole R, et al:Priority actions for the non-communicable disease crisis. Lancet 377(9775):1438-1447,2011
3)雨海照祥,佐々木敏:対談“論文”をめぐる対話—科学をベースとして働くために.臨床栄養126(4):470-482, 2015
4)Intersalt Cooperative Research Group:Intersalt:an international study of electrolyte excretion and blood pressure. Results for 24 hour urinary sodium and potassium excretion. BMJ 297:319-328, 1988
5)Anderson CA, et al:Dietary sources of sodium in China, Japan, the United Kingdom, and the United States, women and men aged 40 to 59 years:the INTERMAP study. J Am Diet Assoc 110(5):736-745, 2010
6)Asakura K, et al:Estimation of sodium and potassium intakes assessed by two 24-hour urine collections in healthy Japanese adults:a nationwide study. Br J Nutr 112:1195-1205, 2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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