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特集 公衆栄養への期待
スポーツ栄養学の進歩と今後の展望
著者: 髙田和子1 田口素子23
所属機関: 1国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 栄養教育研究部 2早稲田大学スポーツ科学学術院 3早稲田大学スポーツ栄養研究所
ページ範囲:P.542 - P.546
文献購入ページに移動スポーツ栄養という用語には明確な定義がなく,どのような分野を対象とするかの考え方は幅広い.オリンピック選手やプロの選手が優勝時のインタビュー等で,食事に気を付けたことや栄養士のサポートを得たことを話す場面が稀にテレビで放映され,栄養士を目指す学生のスポーツ栄養への興味を強めている.スポーツ栄養がカバーする範囲の1つは,プロかアマチュアかを問わず,また競技レベルが国際大会を目指す者から市民大会や選手を目指すジュニア等どのレベルであっても,競技力向上を目指すための栄養であることは確かである.もう1つの分野は,健康の維持増進,体力向上あるいは疾病の予防や治療のために行われるスポーツと栄養との関係に関する分野である.
競技力向上のためのスポーツ栄養では,特別な食品をとることで,筋力の増強や試合時のパフォーマンスが向上するイメージも強い.しかし,多くの場合,スポーツ栄養ができることは非常に地味であり,表1に示すような内容にまとめられる.これらの目的に達するために,食事の手配,環境整備,選手やスタッフへの教育等を他のサポートスタッフと共に実施する.スポーツ栄養が他の栄養指導等に比べ非常に実践しやすい面は,本人や他のスタッフを含め,目標が明確なことである.栄養の重要性が理解されれば,栄養改善のモチベーションも高い.一方で,栄養改善の効果は必ずしも,すぐに競技力に現れないために,理解をえることが難しい場面もある.
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