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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生79巻8号

2015年08月発行

文献概要

特集 公衆栄養への期待

スポーツ栄養学の進歩と今後の展望

著者: 髙田和子1 田口素子23

所属機関: 1国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 栄養教育研究部 2早稲田大学スポーツ科学学術院 3早稲田大学スポーツ栄養研究所

ページ範囲:P.542 - P.546

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スポーツ栄養とは
 スポーツ栄養という用語には明確な定義がなく,どのような分野を対象とするかの考え方は幅広い.オリンピック選手やプロの選手が優勝時のインタビュー等で,食事に気を付けたことや栄養士のサポートを得たことを話す場面が稀にテレビで放映され,栄養士を目指す学生のスポーツ栄養への興味を強めている.スポーツ栄養がカバーする範囲の1つは,プロかアマチュアかを問わず,また競技レベルが国際大会を目指す者から市民大会や選手を目指すジュニア等どのレベルであっても,競技力向上を目指すための栄養であることは確かである.もう1つの分野は,健康の維持増進,体力向上あるいは疾病の予防や治療のために行われるスポーツと栄養との関係に関する分野である.
 競技力向上のためのスポーツ栄養では,特別な食品をとることで,筋力の増強や試合時のパフォーマンスが向上するイメージも強い.しかし,多くの場合,スポーツ栄養ができることは非常に地味であり,表1に示すような内容にまとめられる.これらの目的に達するために,食事の手配,環境整備,選手やスタッフへの教育等を他のサポートスタッフと共に実施する.スポーツ栄養が他の栄養指導等に比べ非常に実践しやすい面は,本人や他のスタッフを含め,目標が明確なことである.栄養の重要性が理解されれば,栄養改善のモチベーションも高い.一方で,栄養改善の効果は必ずしも,すぐに競技力に現れないために,理解をえることが難しい場面もある.

参考文献

1)鈴木久乃:スポーツ選手の栄養・食事サポートの50年.日本スポーツ栄養研究誌2:3-6,2008
2)(財)日本体育協会:東京オリンピック選手強化対策本部報告書.(財)日本体育協会,1965
3)高木和男:労働栄養学.第一出版,1964
4)山岡誠一,他:スポーツ労働栄養学.医歯薬出版,1968
5)Maughan RJ, Shirreffs SM:IOC consensus conference on Nutrition in sport, 25-27 October 2010, International Olympic Committee, Lausanne, Switzerland. Journal of Sports Sciences 29(sup 1):S1, 2011
6)Burke LM, et al:Carbohydrates for training and competition, Journal of Sports Sciences 29(supl):S17-S27, 2011
7)日本陸上競技連盟医事委員会(監訳):国際陸上競技連盟 陸上競技選手のためのスポーツ栄養コンセンサス2007について http://www.jaaf.or.jp/medical/iaafnutrition.pdf
8)樋口満(監修):小・中学生のスポーツ栄養ガイド—スポーツ食育プログラム.女子栄養大学出版部,2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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