icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生79巻9号

2015年09月発行

文献概要

特集 医療情報の利活用

イギリスにおける医療情報の活用の課題と展望

著者: 堀真奈美1

所属機関: 1東海大学教養学部人間環境学科社会環境課程

ページ範囲:P.619 - P.623

文献購入ページに移動
 患者の消費者意識の向上やIT技術の高度化を背景に,医療情報への社会的ニーズが急速に高まっている.日本では,医療機関がウェブサイト等を通じて自らの医療機関や治療に関する情報提供を行うのが一般的になりつつあるが,複数機関間で比較可能な系統的な情報とは必ずしもなっていない.ここ数年は,医療の効率化と質の向上,安全性の確保を実現する手段として,医療情報の利活用に注目が集まるようになってきたところである.
 一方,本稿の考察対象となるイギリスは,国営の医療提供体制であることから,国の公共投資によって医療情報の利活用が進められている.施設ごとの治療までの待機期間や施設の清潔さ,スタッフの労働環境,財政状態,患者への応答度,手術後の死亡率など多様な情報が他の医療機関と比較可能な形で入手可能となっている.また,EBM(科学的根拠に基づく医療)の推進がはかられており,医療知識や医学に関する情報の蓄積,公開も日本以上に進んでいる.

参考文献

1)NAO:Department of Health:The National Programme for IT in the NHS, 2006
2)NAO:The National Programme for IT in the NHS:Progress since 2006, 2008
3)NAO:The National Programme for IT in the NHS:an update on the delivery of detailed care records systems, 2011
4)NAO:Review of the final benefits statement for programmes previously managed under the National Programme for IT in the NHS, 2013
5)PAC:The Dismantled National Programme for IT in the NHS, 2013
6)Department of Health:Liberating the NHS:An Information Revolution, 2011
7)堀真奈美:政府はどこまで医療に介入するのか—イギリスNHS改革から(仮).ミネルヴァ書房,2015年11月発行予定

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら