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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生79巻9号

2015年09月発行

寄稿

高齢者就労に関する先行研究 その2—高齢者就労支援のあり方の検討

著者: 南潮1 藤原佳典1

所属機関: 1東京都健康長寿医療センター研究所 社会参加と地域保健研究チーム

ページ範囲:P.625 - P.628

文献概要

 日本におけるこれまでの高齢者就労支援の主流はシルバー人材センターによるものであり,第6期介護保険事業計画の中でも高齢者の日常生活支援の担い手として期待されている.シルバー人材センターが仲介する就業は高齢者福祉の一環として取り組まれてきた施策(福祉型就労)であり,労働者は雇用主との直接の雇用関係を持たない.これは生計に必要な賃金を得るための労働政策系列の就労(稼得型就労)と区別されており,「就労」でなく「就業」という表現を用いることが多い.原則60歳以上を対象とし,活動理念として社会参加が挙げられ,地域社会の協力と支持を得ながら,雇用主にも市場原理だけでなく高齢者就業の趣旨への賛同を求めるものである.2013年度の統計では全国に1300団体,会員数は約73万人が参加しているが,日本最大の高齢者就労支援ネットワークといえる.しかし2009年のピーク時会員数約79万人からすると,現在会員数が徐々に減少傾向にあり,その原因についての考察が期待されている.本稿ではこうした状況を鑑み,日本国内の高齢者就労支援の現況について明らかにするため,先行研究のレビューを行った1)

参考文献

1)東京都健康長寿医療センター研究所社会参加と地域保健研究チーム:高齢者就労支援プロジェクト(ESSENCE)ホームページ,先行研究レビュー https://sites.google.com/site/elderlyemployment/result/siryo
2)針金まゆみ,他:都市部シルバー人材センターにおける就業実態:性・年齢階級による検討.老年社会科学31(1):32-38, 2009
3)シルバー人材センター,ダイヤ高齢社会研究財団:生きがい就業の介護予防効果に関する共同研究 http://dia.or.jp/shrc/
4)原田謙,他:高齢者のシルバー人材センターの退会に関連する要因.老年社会科学31(3):350-358, 2009
5)Hart Resarch Associates:Encore Career Survey. MetLife Foundation/Civic Ventures, 2008 https://www.metlife.com/assets/cao/foundation/Encore_Survey.pdf
6)総務省統計局:2013年 労働力調査.2014.1.31公表
7)南潮,他:都市部における新たな高齢者向け就労支援施設の取り組み.日本公衆衛生雑誌62(6):281-293, 2015
8)南潮,他:就労支援施設を利用する高齢求職者の求職活動の推移と精神的健康 ESSENCE研究(2).日本公衆衛生学会総会抄録集(73):488, 2014
9)厚生労働省:平成24年版厚生労働白書.pp260-261, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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