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予防と臨床のはざまで
第31回国際産業衛生学会参加ダイジェスト(1)—重要性増す職域ヘルスプロモーション
著者: 福田洋1
所属機関: 1順天堂大学医学部総合診療科
ページ範囲:P.644 - P.644
文献購入ページに移動今回印象的だったのは,以前までと比べて明らかにヘルスプロモーション系のセッションが多かったことです.9年前の2006年のミラノ大会(100周年記念)では,ヘルスプロモーションに関する基調講演は1つでしたが,今回は少なくとも3つの基調講演と5つの準基調講演が直接・間接的に職域ヘルスプロモーションをテーマにしたものでした.Dr.Ivan Ivanov(WHO)は初日のオープニングセレモニーで,オーストラリアの労働者の96%が何らかのNCD(生活習慣病)を持ち,フィリピンの労働者では高血圧が2番目の医学的課題であると述べ,働く人の健康を守る場としての職域の重要性を強調しました.2日目,Dr.Shyam Pingle(IBM,インド)は,“Achieving Occupational Health through Workplace Wellness”の中で,産業保健のターゲットは,職業病から人の疾病と健康へ影響する職業そのものへと変わりつつあるとし,経済的には中国やインドの成長含め,アジアのプレゼンスが増していることを示しました.「20歳代はお金がない,40歳代は時間がない,60歳代は健康がない」と世代別の支援の必要性についても触れ,健康と生産性の両立は可能であると述べました.日本のTHPもそうですが,健康増進の取り組みは一部の恵まれた企業にのみ可能であることも珍しくありません.途上国の参加者からは,予算が限られている場合の方策についての質問もありました.
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