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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生8巻1号

1950年07月発行

文献概要

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社會保險の展望

著者: 大村潤四郞1

所属機関: 1厚生省保險局醫療課

ページ範囲:P.6 - P.8

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1.社會保險の沿革
 賃金勞働者その他の小額所得者が疾病,負傷,老年,分娩,死亡等の身體的故障のためその勞働能力を喪失したる場合,又は失業のため勞働機會を喪失したる場合之を救濟する保險的施設を稱して社會保險と云う。疾病の保險を目的とした小規模なる組合は既に早くから各國に存在していたが強制保險制度としてその形態を整えたのは18世紀から19世紀にかけて起つた産業革命の結果であつた,この結果手工業に代つた機械工業に世襲的勞働階級が發生しその生活は低賃金と過剩勞働のため極めて悲慘なものとなつた。社會保險はこれ等勞働者に對する社會政策として1883年獨逸に於て時の宰相ビスマルクに依て創始せられた疾病保險を以て嚆矢とする。その後墺(1888)匃(1891)佛(1894)英(1897)瑞典,蘭(1901)等に相次いで創設せられ世界各國に及んだ。日本に於ける社會保險は大正11年の健康保險法の制定と共に始るがそれ以前既に工場,鑛山等に自主的に設立せられたる共濟組合があり,又業務上の傷病に對して事業主の扶助義務を規定した,鑛業法,(明治32年)工場法(大正5年)等があつた。大正7,8年頃歐洲大戰の影響を受け,社會状態經濟事情に急激なる變遷を來し一般思想は紛亂し勞働爭議は頻發した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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