1)Stacey M:Regulating British Medicine:The General Medical Council. Chichester, John Wiley & Sons, 1992
2)白瀨由美香:イギリスにおける医師・看護師の養成と役割分担.海外社会保障研究174:52-63, 2011
3)ただし当時は,一定の条件を備えた医学校の卒業生は開業試験が免除され,無試験で医師免許を取得することができた.また,へき地での医師普及を図るため,履歴審査のみで無試験で仮免許を与える限地開業医師制度もあった.
4)長与専斎:松香私志.小川鼎三・酒井シヅ校注:松本順自伝・長与専斎自伝.平凡社,1980,pp101-214
5)神里(所)彩子:GHQ占領期における医師会の設立・加入体制の構築経緯.日本医史学雑誌50(2):243-274, 2004
6)Freidson E:Professionalism:The Third Logic. Cambridge, Polity Press, 2001
7)調整的国家-位階制的国家,受動的国家-能動的国家の枠組みは,元はダマスカが法プロセスの比較分析のために提示した図式である(Damaška MR:The Faces of Justice and State Authority:A Comparative Approach to the Legal Process. New Haven, Yale University Press, 1986).それをフリードソンが専門職と国家の関係の類型論に応用した.
8)金子雅彦:医療制度の社会学—日本とイギリスにおける医療提供システム.書肆クラルテ,2012
9)高鳥毛敏雄:イギリスにおける公衆衛生の歩みと新たな展開—パブリックヘルス・イングランド.公衆衛生78(1):6-13, 2014
10)職業従事者の裁量権が多いということは,法規則で業務内容を詳細に定めていないということでもある.イギリスは不文憲法の国である.イギリスの憲法は1225年マグナ・カルタや1689年権利章典といった議会制定法の他に,判例憲法(司法的先例)やEU法,憲法習律(憲法の運用上成立した慣例)から構成されている.いわばパッチワークとなっていて,しかも裁判所の判決である判例憲法が第一次的法源とされている.実は成文憲法を持った時期もあるが,ごく短い(加藤紘捷:概説イギリス憲法[第2版]—由来・展開そしてEU法との相克.勁草書房,2015).国家の根本法である憲法がこのような状態であるから,ある職業の業務内容を具体的かつ詳細に明示した法規則を作ることは難しい.こうした点も受動的・調整的国家らしい特徴と言える.
:Burrage M & Torstendahl R(eds):Professions in Theory and History:Rethinking the Study of the Professions. London, Sage Publications, 1990, pp177-202