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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生80巻11号

2016年11月発行

特集 精神保健医療福祉の改革

医療観察法の地域精神保健医療への影響と課題

著者: 村田昌彦1

所属機関: 1独立行政法人国立病院機構榊原病院

ページ範囲:P.843 - P.847

文献概要

 医療観察法(正式名称;心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察に関する法律)が2005(平成17)年7月15日に施行されて10年が過ぎた.わが国ではこれまで他害行為を行った精神障碍者に対して精神保健福祉法による措置入院で対応してきた.措置入院は自傷他害が適用要件であること,行政措置であり医療処遇が開始されると刑事的な処遇は終了しがちであること,入院治療内容に基準がない,退院後の治療継続への方策がない,などの問題点が存在していた.
 医療観察法(以下,本法と略す)ではこれらの問題点を改善し,患者(本法では対象者と称す)の社会復帰を目指すこととなった.本稿では医療観察法から一般の地域精神保健医療への移行について,法施行後10年間の経過の中で見えてきた成果や課題について検討したい.

参考文献

1)最高裁判所ホームページ http://www.courts.go.jp/app/sihotokei_jp/search
2)安藤久美子:指定通院医療機関モニタリング調査研究.平成25年度厚生労働科学研究費補助金[障害者対策総合研究事業(精神障害分野)]医療観察法制度の鑑定入院と専門医療の適正化と向上に関する研究(研究代表者:五十嵐禎人).総括・分担研究報告書,2014,pp109-131
3)田口寿子:再び重大な他害行為を行った対象者及び再入院者に関する全国調査.平成26年度厚生労働科学研究費補助金 障害者対策総合研究事業 障害者政策総合研究事業(精神障害分野)医療観察法対象者の円滑な社会復帰促進に関する研究 分担研究報告書,2014, pp43-57
4)壁屋康洋:リスクアセスメントと共通評価項目の現在と未来.司法精神医学10:20-29, 2015
5)村田昌彦:入院処遇から通院処遇を経ないで処遇終了となる事例の予後調査.平成27年度国立研究開発法人 日本医療研究開発機構委託研究 長寿・障害総合研究事業 障害者対策総合研究開発事業 医療観察法における,新たな治療介入法や,行動制御に係る指標の開発等に関する研究 研究開発分担報告書,2015, pp31-42
6)松原三郎:民間精神科病院からみた通院医療.司法精神医学3:108-112, 2008
7)岩成秀夫:公的病院からみた通院医療.司法精神医学3:113-120, 2008
8)大鶴卓:指定通院機関の機能分化に関する研究.平成27年度国立研究開発法人 日本医療研究開発機構委託研究 長寿・障害総合研究事業 障害者対策総合研究開発事業 医療観察法における,新たな治療介入法や,行動制御に係る指標の開発等に関する研究 研究開発分担報告書,2015, pp75-86

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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