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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生80巻12号

2016年12月発行

文献概要

特集 行政保健師の質の保証—卒後教育・CPD

行政保健師の卒後教育とCPD体制の現状と展望

著者: 岡本玲子1

所属機関: 1大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻

ページ範囲:P.889 - P.893

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研修体制は整いつつも受講や内容には課題
 保健師の人材育成については,2000年代に入って盛んに保健師の専門能力明確化の動きがあり,それを経て平成19(2007)年度厚生労働科学研究では1),新任前/後期・中堅前/後期・管理前/後期それぞれで育成するコア能力と,各期に上がるために獲得しておく必要がある能力の要件が示された.現在,各都道府県では,一連の検討結果を踏まえて,人材育成ガイドラインの作成など体制整備が進められている.平成26(2014)年度の調査では2),47都道府県の階層別研修の実施割合は,新任期が97.9%,中堅期が93.6%と高く,管理期は85.1%とわずかに低いものの,概ね全国的に開催されている現状が示された.
 しかし対象となる保健師がどの程度その研修に参加できているかは別問題である.例えばある県の昨年度の階層別研修の受講率は,新任期(毎年8割受講が目標)の2回研修受講が7割弱,中堅期の3回セット研修受講(5年で全員受講が目標の3年目)が累計で7割弱,および管理期の年1〜2回の研修受講(3年で全員受講が目標の3年目)が累計で8割弱であったと聞く.研修によって目標値になかなか達しない状況があり,現場が,多忙な日常業務を抱えながら,研修に参加する時間を確保することに苦慮している現状が見えてくる.

参考文献

1)佐伯和子,他:保健師指導者の育成プログラムの開発/保健師のキャリアラダーと保健師指導者の人材育成プログラム,平成17-19年度総合研究報告書 厚生労働科学研究費補助金(地域健康危機管理研究事業),2008年3月,pp1-17
2)守田孝恵:保健師の専門能力向上のための研修会等に関する研究(地域保健に従事する人材の計画的育成に関する研究 分担研究),平成26年度厚生労働科学研究費補助金(健康安全・危機管理対策総合研究事業),2015年3月,pp9-25
3)岡本玲子:理解して生かす保健師用語「コンピテンシー」.地域保健46(12):62-63, 2015
:Armstrong SJ, Fukami CV(eds):The Sage Handbook of Management Learning, Education and Development. SAGE Publications, London, 2009, pp42-68
5)保健師に係る研修のあり方等に関する検討会:最終とりまとめ〜自治体保健師の人材育成体制構築の推進に向けて〜.2016年3月,pp1-17,資料編pp6-7
6)中央教育審議会:今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(答申),平成23年1月31日
7)金井壽宏:働くひとのためのキャリア・デザイン.PHP新書,2002
8)J.フィッツジェラルド(著),筒井美紀,他(訳):キャリアラダーとは何か—アメリカにおける地域と企業の戦略転換.勁草書房,2008
9)Skills for Health:Career Frameworks—Public Health(イギリスのSkills for Healthの公衆衛生のキャリアパス) http://www.skillsforhealth.org.uk/career-framework/?sec=cf (URL最終アクセス 2016.10.24)
10)地域保健に従事する人材の計画的育成に関する研究班(研究代表者:奥田博子):保健師の人材育成計画策定ガイドライン,平成27年度厚生労働科学研究費補助金(健康安全・危機管理対策総合研究事業),2016年3月,pp1-15

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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