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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生80巻12号

2016年12月発行

文献概要

特集 行政保健師の質の保証—卒後教育・CPD

自治体における統括保健師の配置の状況と役割の発揮—行政政策に関わる後輩につなぐ

著者: 中板育美1

所属機関: 1公益社団法人日本看護協会

ページ範囲:P.894 - P.902

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 2025年前後の医療や介護の需要増大に対応できる社会保障制度の新たなモデルとして「地域包括ケアシステム」の構築が要請されている.このシステムは,高齢者の尊厳が守られ,個別性が尊重されることを基本に,住み慣れた地域で必要な医療・介護等サービスが必要な時に一体的に提供されることで,高齢者自身の自立とQOLの向上を目指す仕組みでもある1).ヘルスプロモーションの観点から言えば,病気の悪化=入院という選択肢の乏しい時代から脱し,自分らしい生き方の延長線上にある「死」を,自らがどう捉え,自分の終末期をどう生き,どう最期を迎えるかをデザインできる時代が望ましく,その可能性を専門家や住民,当事者がともに考えたり役割を分かち合う形で実現していくことを示唆しているとも言える.
 また,低成長経済の遷延など社会的趨勢の余波により,保健師に課せられるテーマは,高齢者対策のみならず,生活習慣病対策,介護予防,自殺,DV(Domestic Violence),子ども・高齢者・障害者虐待,健康危機管理などあらゆる領域に起こる健康格差も含めて,多分野にまたがっている.これらの課題を,量的データや多層的な医療・福祉資源をつなぐケア・ネットワークなどの質的データから判断し,実態から導かれる専門的なヘルスニーズや行政ニーズとして提示することが求められている.しかもその解決策は地域特性に応じる必要がある1〜4)

参考文献

1)社会保障制度改革国民会議:社会保障制度改革国民会議報告書〜確かな社会保障を将来世代に伝えるための道筋〜,平成25年8月6日
2)厚生労働省健康局長(健発0731第8号):地域保健対策の推進に関する基本的な指針の一部改正について,20123)日本公衆衛生協会:地域における保健師の保健活動に関する検討会報告書,2013
3)日本公衆衛生協会:地域における保健師の保健活動に関する検討会報告書,2013
4)厚生労働省健康局長(健発0419第1号):地域における保健師の保健活動について,2013
5)厚生労働省:平成27年度保健師活動領域調査(領域調査),平成27年10月21日 http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/hoken/katsudou/09/ryouikichousa_h27.html
6)日本看護協会:保健師の活動基盤に関する基礎調査報告書.厚生労働省先駆的保健活動交流推進事業,平成27年3月
7)日本看護協会:統括保健師人材育成プログラム実施報告書,統括保健師人材育成プログラムの開発〜2年間の試行を踏まえて〜.厚生労働省先駆的保健活動交流推進事業,平成28年3月
8)厚生労働省:保健師に係る研修のあり方等に関する検討会 最終とりまとめ—自治体保健師の人材育成体制構築の推進に向けて,平成28年3月31日 http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000120070.pdf
9)地方公務員法の一部改正,平成26年5月公布,平成28年4月施行(「能力及び実績に基づく人事管理の徹底」が規定され,「能力本位の任用制度の確立」)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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