icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生80巻12号

2016年12月発行

文献概要

特集 行政保健師の質の保証—卒後教育・CPD

岩手県における保健師活動と保健師教育の現状と課題

著者: 鈴木るり子1

所属機関: 1岩手看護短期大学 専攻科 地域看護学専攻

ページ範囲:P.909 - P.916

文献購入ページに移動
 岩手県は四国4県に匹敵する広大な面積を有している.1960年代までの岩手県は,自然環境の厳しさと,貧困,多病,多死の時代であった.その頃の人々の暮らしは大牟羅良の『ものいわぬ農民』1)や菊地武雄の『自分たちで生命を守った村』2)に詳細に記載されている.
 菊地武雄の『自分たちで生命を守った村』に岩泉町の「有芸(うげい)村」(現在岩泉町に合併)は1941・42年の死者の47%は医者の死亡診断書さえ貰えず,「変死にあらざることを証明する」という警察官の“死亡検案書”になっていたとの一節がある2).このたびの台風10号は,この有芸地区を孤立集落にした.山深い集落であるが,豊かな水と豊富な山の恵みに囲まれ人々は暮らしていた.筆者は学生の実習でこの集落の住民に会っている.高齢化は進み中心街への交通網は不便だが,住民はその土地から離れる意思のないことを聞いている.

参考文献

1)大牟羅良:ものいわぬ農民.岩波書店,1958
2)菊地武雄:自分たちで生命を守った村.岩波書店,1968, pp33-34
3)大牟羅良(編):岩手の保健.岩手県国民健康保険団体連合会,1951
4)鈴木るり子:岩手県沢内村の生命行政「文化を変えたアプローチ」—社会環境の改善に切り込んだ深澤村長と保健師.ゆたかなくらし134(10):23-27,2010
5)鈴木るり子:あくまでも原発に反対した,岩手県田野畑村の自然を守った元開拓保健婦岩見ヒサ.保健師の歴史研究No5,公衆衛生看護研究所・保健婦資料館,2008
6)岩見ヒサ:吾が住み処ここより外になし—田野畑村元開拓保健婦のあゆみ.萌文社,2010
7)鈴木るり子:地域診断の演習と実習の進め方.全国保健師教育機関協議会第30回夏季教員研修会,2015
8)村嶋幸代,鈴木るり子,岡本玲子(編著):大槌町 保健師による全戸家庭訪問と被災地復興.明石書店,2012
9)岩手県保健師現任教育検討会:岩手県保健師人材育成指針,2014(岩手県保健師現任教育検討会メンバー:鈴木るり子,赤羽さなえ,藤田濱子,佐藤なお子,奥寺三枝子,菊池とも,赤石幸絵,及川千鶴枝,岩渕光子,千葉澄子,中里早苗,三浦まゆみ,中野真美子,佐々木雅子)
10)岩手県保健福祉部:岩手県保健師人材育成指針,2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら