公衆衛生80巻2号

2016年02月発行

特集 子どもへのがん教育

がん教育—教育の立場から

著者： 植田誠治¹

所属機関： ¹聖心女子大学文学部教育学科

ページ範囲：P.91 - P.96

学校における健康教育の特徴
　学校における健康教育は，児童生徒が生涯を通じて健康な生活を送るうえでの基礎を培うものである．その観点から，学校における健康教育では，健康を自ら保持増進するために必要な能力・態度を育成する．「生涯を通じて健康な生活を送るうえでの基礎を培う」という観点は，まさに発育発達途上にある児童生徒を対象とする学校における健康教育の特徴といえる．学校という「場」の概念で健康教育を考えるのではなく，発育発達途上にある児童生徒を教育するという「機能」の概念で健康教育を考えるという特徴である．
　筆者は，そのような特徴を有する学校における健康教育に，がんに関する学習内容をこれまで以上に位置付けていこうとすることに大きな価値と可能性を感じている．ここでは，その価値と可能性を確固たるものとするうえで，押えておくべきと考えていることを整理する．

参考文献

1)公益財団法人日本学校保健会：がんの教育に関する検討委員会　報告書，2014．http://www.gakkohoken.jp/modules/books/index.php?fct=photo＆p=152

2)植田誠治，他：日本の児童生徒のがんについての意識の実態．学校保健研究56(3)：185-198, 2014

3)中川原章：小児がんとこどものがん教育．UICC世界対がんデー2015公開シンポジウム「小学生のがん教育を考える」抄録集，2015，pp14, 15

4)文部科学省：小学校学習指導要領解説　体育編，2008, p82．http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2011/01/19/1234931_010.pdf

5)森昭三，他：小学校体育科教科書　新・みんなの保健5・6年，学研教育みらい，2015，pp36, 40

6)文部科学省：中学校学習指導要領解説　保健体育編，2008, p157．http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2011/01/21/1234912_009.pdf

7)文部科学省：高等学校学習指導要領解説　保健体育編　体育編，2009, p107．http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2011/01/19/1282000_7. pdf

8)和唐正勝，他：高等学校保健体育科用教科書　現代高等保健体育，大修館書店，2013, pp16, 17

9)前掲書6)，p158

10)前掲書7)，p111

11)前掲書7)，pp106，107

12)文部科学省：小学校学習指導要領解説　特別活動編，2008．http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2009/06/16/1234931_014.pdf

13)文部科学省：中学校学習指導要領解説　特別活動編，2008．http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2011/01/05/1234912_014.pdf

14)文部科学省：高等学校学習指導要領解説　特別活動編，2009．http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2010/01/29/1282000_20. pdf

15)文部科学省：小学校学習指導要領解説　道徳編，2008．http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2009/06/16/1234931_011.pdf

16)文部科学省：中学校学習指導要領解説　道徳編，2008．http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2011/01/05/1234912_012.pdf

17)物部博文，他：日本における児童生徒のがんの原因についての認識と情報源．学校保健研究56(4)：262-270, 2014

18)植田誠治：「小学生のがん教育を考える」うえでの視点．UICC世界対がんデー2015公開シンポジウム「小学生のがん教育を考える」抄録集，2015，pp18, 19