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特集 産業保健のトピックス
データヘルス計画に基づく健康な職場づくり
著者: 古井祐司1
所属機関: 1東京大学政策ビジョン研究センター健康経営研究ユニット
ページ範囲:P.247 - P.250
文献購入ページに移動超少子高齢化の進展に伴い,生活習慣病の増加や医療費の高騰だけでなく,企業の生産性や地域社会を維持する担い手確保といった課題が顕在化している日本.政府ではこのような社会環境の変化を背景に,2013年より金融政策,財政政策に続く“第3の矢”として,「新たな成長戦略(日本再興戦略)」の展開を図っています.「日本再興戦略」の2番目のアクションプランである「戦略市場創造プラン」のトップに“国民の健康寿命の延伸”が掲げられました.今後,国民全体が加齢しても,できるだけ健康を維持して病気にならないようにし,生産性の低下や医療費の高騰を防ごうというものです.その実施主体として位置づけられたのが医療保険者です.国民皆保険下ですべての国民をカバーし,医療費をマネジし,レセプト・健診・保健指導といった健康関連データが蓄積される保険者の機能を有効活用します.
ただ,「保険者は,健康管理や予防の必要性を認識しつつも,個人に対する動機付けの方策を十分に講じていない」ことが重要な課題とされました.成長戦略では,この課題を解決する方向性として,「予防・健康管理の推進に関する新たな仕組みづくり」として,健保組合や全国健康保険協会(以下,協会けんぽ)などの保険者に「データヘルス計画」の策定および実施を求めることになりました.“データに基づく科学的なアプローチにより保健事業の効果・効率をあげる”データヘルス計画.この新たな仕組みは,企業が取り組む健康増進活動をどのように変えるのでしょう.
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