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『失われてゆく,我々の内なる細菌』—マーティン・J・ブレイザー 著 山本太郎 訳 みすず書房 2015年 フリーアクセス
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ページ範囲:P.256 - P.256
文献購入ページに移動人体にはヒト細胞の3倍以上に相当する100兆個もの細菌が常在している.つまり我々を構成する細胞の70-90%がヒトに由来しない.こうした細菌は地球上の微生物の無作為集合体ではなく,ヒトと共進化してきた独自の群れであり,我々の生存に不可欠だ.構成は3歳くらいまでにほぼ決まり,指紋のように個々人で異なる.その最も重要な役割は先天性,後天性に次ぐ第三の免疫である.しかしこの〈我々の内なる細菌〉は抗生剤の導入以来,攪乱され続けてきた.帝王切開も,母親から細菌を受け継ぐ機会を奪う.その結果生じる健康問題や,薬剤耐性がもたらす「害」の深刻さに,我々は今ようやく気づきつつある.
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