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特集 産業保健のトピックス
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序に変えて
1.高齢労働社会の到来
わが国の生産年齢人口は1995年の8716.5万人(全人口の69.4%)をピークとして,その後は減少局面に入った.直近の2015年における生産年齢人口比率はピーク年に比べて8.7%低い60.7%であったが,それから20年後の2035年には56.6%,次いで,2060年には50.9%まで減少すると推計されている1).反して,全人口に占める高齢者(65歳以上)の割合は2013年に25%を超えた.今後も高齢化率は上昇を続け,2030年には31.6%,そして,2060年には国民の約2.5人に1人(40.0%)が高齢者になると推計されている2).
高齢労働に拍車をかける要因として少子化が挙げられる.人口維持に必要と言われている合計特殊出生率は2.07から2.08である.団塊の世代が誕生した1947〜1949年の合計特殊出生率は4.54〜4.32であった.しかし,1974年(2.05)以降は人口を維持するために必要な水準を常に下回る数値が続き,ついに2013年には1.43となった3).
1.高齢労働社会の到来
わが国の生産年齢人口は1995年の8716.5万人(全人口の69.4%)をピークとして,その後は減少局面に入った.直近の2015年における生産年齢人口比率はピーク年に比べて8.7%低い60.7%であったが,それから20年後の2035年には56.6%,次いで,2060年には50.9%まで減少すると推計されている1).反して,全人口に占める高齢者(65歳以上)の割合は2013年に25%を超えた.今後も高齢化率は上昇を続け,2030年には31.6%,そして,2060年には国民の約2.5人に1人(40.0%)が高齢者になると推計されている2).
高齢労働に拍車をかける要因として少子化が挙げられる.人口維持に必要と言われている合計特殊出生率は2.07から2.08である.団塊の世代が誕生した1947〜1949年の合計特殊出生率は4.54〜4.32であった.しかし,1974年(2.05)以降は人口を維持するために必要な水準を常に下回る数値が続き,ついに2013年には1.43となった3).
参考文献
1)国立社会保障・人口問題研究所:—人口統計資料集(2015)—,表2-7 年齢(3区分)別人口および増加率の将来推計:2010〜60年,2015. http://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/Popular/P_Detail2015.asp?fname=T02-07.htm(文中の%はこの表の数値から算出)
2)国立社会保障・人口問題研究所:日本の将来推計人口(平成24年1月推計)表1-1 総人口,年齢3区分(0〜14歳,15〜64歳,65歳以上)別人口及び年齢構造係数:出生中位(死亡中位)推計,2012. http://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/newest04/h1_1.html(文中の%はこの推計値から算出)
3)厚生労働省:平成26年(2014)人口動態統計の年間推計,第2表 人口動態総覧(率)の年次推移,2015. http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suikei14/dl/toukeihyo.pdf
4)内閣府:平成27年版高齢社会白書(全体版)4.高齢者の就業,2015. http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2015/html/zenbun/s1_2_4.html
5)内閣府:平成26年版高齢社会白書(概要版)2.就労に関する備え,2014. http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2014/gaiyou/s1_3_2.html
6)内閣府:平成27年版高齢社会白書(概要版)3.高齢者の健康・福祉,2015. http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2015/html/gaiyou/s1_2_3.html
7)厚生労働省:平成25年度 国民医療費の概況 表5 年齢階級別国民医療費,2015. http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-iryohi/13/dl/data.pdf
8)厚生労働省:厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会 第2回健康日本21(第二次)推進専門委員会,2014 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000059796.html
9)内閣官房,他:新健康フロンティア戦略アクションプラン,2007. http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkou/plan.pdf
10)濱秋純哉,野口晴子:中高齢者の健康状態と労働参加,日本労働研究雑誌No.601:5-24, 2010
11)Ilmarinen J and Tuomi K:Past, present and future of work ability:Proceedings of the 1st International Symposium on Work Ability. pp1-25. FIOH, Helsinki, 2004
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