文献詳細
特集 産業保健のトピックス
文献概要
近年,治療技術の進歩により,多くの難病患者や中途障害者は,発病をしても,症状をコントロールできるようになり,一定の就業上の配慮(残業や交代勤務,休日出勤の制限,通院への配慮等)があれば,健常者と同様の能力を発揮して,就労の継続ができるようになってきている.一方で,多くの企業の担当者は,「難病」という言葉を聞くと,「仕事により病状を悪化させてしまうのではないか」「安全に就業できないのではないか」という先入観を持ったり,誤解をしたりしてしまいやすい.その結果,難病患者の多くが,これまで通りに働く能力があるにもかかわらず,退職を勧奨されたり,それまでのキャリアを考慮されずに,閑職に異動させられたりするなど,勤務先から過剰な配慮をされてしまう傾向がある.
この状況は,本来は活用できる人材を過剰な配慮によって十分に活用できないという点から,企業にとっても,難病患者本人にとっても,損失である.この状況を改善するためには,患者本人,人事担当者,上司が,病状や仕事の内容,職場環境などについて適切にコミュニケーションをとることが必要となる.そのコミュニケーションをよりスムーズにするために,企業内で健康管理を行う立場にある産業保健職にも期待される役割があるだろう.
この状況は,本来は活用できる人材を過剰な配慮によって十分に活用できないという点から,企業にとっても,難病患者本人にとっても,損失である.この状況を改善するためには,患者本人,人事担当者,上司が,病状や仕事の内容,職場環境などについて適切にコミュニケーションをとることが必要となる.そのコミュニケーションをよりスムーズにするために,企業内で健康管理を行う立場にある産業保健職にも期待される役割があるだろう.
参考文献
1)厚生労働省職業安定局:難病患者の雇用管理・就労支援に関する実態調査 調査結果(2006年3月)
2)独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構 障害者職業総合センター:調査研究報告書No.100の別冊資料2「障害・疾患のある人の自立と就業ニーズに応える職場と地域の取組状況に関する調査」(障害者の自立支援と就業支援の効果的連携のための実証的研究)(2011年3月)
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