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「公衆衛生」書評
—谷口清州 監修 吉田眞紀子・堀 成美 編—アウトブレイクに対処する人に役立つ,類書のない良書『感染症疫学ハンドブック』 フリーアクセス
著者: 井上栄1
所属機関: 1元国立感染研感染症情報センター
ページ範囲:P.280 - P.280
文献購入ページに移動上記事業が1998年から始まったのは,1996年の堺市O157事件が契機になっている.当時の予防衛生研究所(現・感染研)には,現場で調査を行う疫学専門家がいなかった.混乱している現場で的確な調査をしてアウトブレイクの全体像を把握し,適切な病原体材料採取の指示をするのは,病原体専門家でなく訓練を受けた疫学専門家である.病原体確定には時間がかかるので,確定前に病原体伝播様式を推定し,流行拡大を防ぐ措置を執らねばならない.十九世紀半ば,細菌学の誕生前,英国人ジョン・スノウ〔疫学(Epidemiology)の創始者〕は,コレラepidemicの際,病気の伝播様式を推定し流行拡大阻止に役立てたのであった.
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