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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生80巻4号

2016年04月発行

文献概要

連載 いま,世界では!? 公衆衛生の新しい流れ

グローバル化と産業保健

著者: 川上剛1 佐野友美2

所属機関: 1ILO(国際労働機関)労働行政・労働監督・労働安全衛生部 2公益財団法人 大原記念労働科学研究所

ページ範囲:P.287 - P.291

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 経済社会における急速なグローバル化の進展に伴い,産業保健に対するニーズが高まっている.これまで産業保健は先進工業国における課題とみられる場合もあったが,現在では多くの工業製品の生産拠点が途上国に移り重要な公衆衛生上の問題となっている.また,農業をはじめとする第一次産業においても,機械化や新たな生産技術の導入が進み,従来からある重量物の運搬や厳しい自然条件のもとでの作業環境に加えて,産業保健上のニーズが増大している.一方でヨーロッパや日本等の先進工業国の多くでは労働災害の件数は減少傾向にあるものの,高齢化社会を迎えて,中高年労働者に適した労働環境を提供し労働災害・職業病を予防するという課題がますます重要になっている.2015年に発効されたEUの第2次産業保健戦略1)においては,中高年労働者の安全・保健の向上,中小企業に対する産業保健サービスの向上,職業病の過少報告の克服の3点が優先課題となっている.

参考文献

1)European Commission:Communication from the Commission to the European Parliament, the Council, the European Economic and Social Committee and the Committee of the Regions on an EU Strategic Framework on Health and Safety at Work 2014-2020. Brussels, 2014
2)国際労働事務局(ILO)編集,国際人間工学会(IEA)協力,小木和孝 訳:人間工学チェックポイント 第2版—安全,健康,作業条件改善のための実際的で実施しやすい対策.労働科学研究所出版部,2014
3)佐野友美:アジアにおける参加型アプローチと「職場ドック」のかかわり.労働の科学69(10):605-609, 2014
4)川上剛,小木和孝:産業における安全・健康リスクと自主対応参加型改善.思想No.963:183-198,岩波書店,2004年第7号
5)吉川悦子:産業安全保健における参加型アプローチの概念分析.産業衛生学雑誌55(2):45-52, 2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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