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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生80巻7号

2016年07月発行

文献概要

特集 子どもの貧困と健康

日本の子どもの貧困の現状

著者: 大澤真平1 松本伊智朗2

所属機関: 1札幌学院大学人文学部人間科学科 2北海道大学大学院教育学研究院

ページ範囲:P.462 - P.469

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 本稿では,子どもの相対的貧困率の概要,子どもの貧困に関するいくつかの構造的背景,そして貧困の世代的再生産について述べることで,わが国の子どもの貧困の現状についての基本的な理解を示したい.
 貧困のなかに生まれ育つ子どもの存在は,当然,子育て家族の貧困と切り離すことはできない.子どもの貧困という特別な貧困があるわけではなく,子どもの貧困もまた広く貧困に対する対応のなかに位置づけて議論されなくてはならない.

参考文献

1)ユニセフ・イノチェンティ研究所:イノチェンティレポートカード13 子どもたちのための公平性:先進諸国における子どもたちの幸福度の格差に関する順位表.日本ユニセフ協会,2016(日本の貧困ギャップの大きさは41カ国中8位となっている.)
2)詳細なデータや母子世帯に関する議論については,湯澤直美:母子世帯の貧困と社会政策.教育と医学62(1):74-81, 2014参照のこと.
3)ユニセフの定義では所得再分配前の所得に公的年金が含まれる.そのため同居している祖父母の公的年金給付の効果を除くと,依然として日本の所得再分配は機能していないことが指摘されている.詳細は阿部彩:子どもの貧困Ⅱ,岩波書店,pp153-156を参照のこと.
4)詳細なデータについては,OECD:Employment Outlook 2009:Tackling the Jobs Crisis, 2009. p186参照のこと.また,再分配政策に関する詳細な議論については,大沢真理:日本の社会政策は就業や育児を罰している.家族社会学研究27(1):24-35, 2015など参照.
5)駒村康平,道中隆,丸山桂:被保護母子世帯における貧困の世代関連鎖と生活上の問題.三田学会雑誌103(4):619-645, 2011など参照.
6)小西祐馬:貧困と保育(3)養育環境の不平等.現代と保育92:143-151, 2015
7)阿部彩:子どもの貧困Ⅱ.岩波書店,2014
8)小西祐馬:調査報告 子どもの生活と社会階層.教育福祉研究10(2):17-39, 2004
9)大澤真平:子どもの経験の不平等.教育福祉研究14:1-13, 2008
10)大澤真平:高校生の学校・家庭生活と意識に関する調査報告書.教育福祉研究16:41-65, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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