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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生80巻7号

2016年07月発行

文献概要

特集 子どもの貧困と健康

女性の貧困と若年出産の現状

著者: 佐藤拓代1

所属機関: 1大阪府立母子保健総合医療センター 母子保健情報センター

ページ範囲:P.486 - P.490

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女性の貧困
 貧困に関しては,OECD(経済協力開発機構)が用いている「等価可処分所得の中央値の半分の金額(貧困線)未満の所得しかない人口が全人口に占める比率」が「相対的貧困率」と定義されて,世界的に比較に用いられている.子どもの貧困率は,次世代を担う子どもの成育状況を改善する指標として重要であるが,女性の貧困率は注目されているとはいいがたい.特に子どもを養育する年代で世帯主が女性である場合の貧困は,子どもの養育に及ぼす影響が大きい.厚生労働省によれば,2012年の国民生活基礎調査での相対的貧困率は16.1%で,世帯主が30歳未満では27.8%と多く,さらに大人一人と子どもの世帯では54.6%と多くなっていた1).わが国のひとり親世帯では母子家庭が84.7%2)で,さまざまなレポートで報告されているように母子家庭の多くは貧困であり,これも女性の貧困である.
 子どもの養育の有無に関係なく,年齢別にみた女性の相対的貧困率は,阿部(2014)3)が平成25年国民生活基礎調査を用いて分析している.15〜19歳で男性18.8%,女性18.5%,20〜24歳で男性21.8%,女性19.5%と,女性の貧困率は男性より低いが,35歳以上では女性の貧困率が高くなり,75〜79歳で25.4%と男性の16.2%の1.5倍であるという.高齢女性の貧困も大きな課題であるが,本稿では20歳未満(若年)の女性の貧困について考えてみたい.

参考文献

1)厚生労働省:相対的貧困率等に関する調査分析結果について 平成27年12月 http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/soshiki/toukei/dl/tp151218-01_1.pdf
2)厚生労働省:ひとり親家庭等の支援について 平成28年4月 http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000100019.pdf
3)阿部彩:相対的貧困率の動向:2006,2009,2012年 http://www.hinkonstat.net/平成25年国民生活基礎調査-を用いた相対的貧困率の動向の分析-1/
4)厚生労働省:人口動態調査
5)厚生労働省:人口動態特殊報告
6)厚生労働省:子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について 第1次〜第11次報告
7)厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課:妊婦健康診査の公費負担の状況にかかる調査結果について http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000089986.html
8)大阪産婦人科医会:未受診や飛び込みによる出産等実態調査報告書 2010年,2011年,2012年,2013年,2014年,2015年
9)奈良県:奈良県児童虐待対策検討会検討結果報告書 2011年
10)文部科学省:学校基本調査

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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