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特集 子どもの貧困と健康
子どもの貧困対策活動—居場所をつくる児童館の取り組み
著者: 荘保共子1
所属機関: 1特定非営利活動法人こどもの里
ページ範囲:P.511 - P.517
文献購入ページに移動かつて「釜ヶ崎」には,不就学児のための「大阪市立あいりん小中学校」があった.貧困で戸籍や住民票がなく地域の学校に入れない子どもたちのための学校だった.お弁当の時間になると学校を抜け出す子がいた.朝礼で倒れた女の子がいた.前日から何も食べてなかった.父親は夜勤の仕事に行っていなかった…….貧困は,子どもの健康と一直線上にあった.それで学校に朝食と昼食を用意した.床屋さんが来て学校で散髪をした.学校にお風呂を設け,先生と一緒に汗を流した.先生と洗濯もした.
大阪市教育委員会の嘱託ではあるが,日本で当時ただ一人のスクールケースワーカー(学校ソーシャルワーカー)がいて,地域と家庭と学校,そして福祉をつないでいた.見かけない子が公園で遊んでいると声をかけ,親と面談し就学をすすめた.登校しなかった子の家を訪問したら子守りをしていた.幼い弟をおぶって登校し勉強するようになった.熱を出し一人で寝ている子がいたら病院に連れて行った.学校と福祉が連携し,子どもの貧困と向き合った.
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