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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生80巻8号

2016年08月発行

文献概要

特集 地域包括ケアの進化

地域包括ケアと認知症施策

著者: 山口晴保1

所属機関: 1群馬大学大学院保健学研究科

ページ範囲:P.590 - P.595

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 厚生労働省は,認知症施策推進5か年計画としてオレンジプランを2012年に定めたが,2014年11月に日本で認知症サミットが開催され,安倍首相が「認知症施策を省庁横断的に連携して取り組む国家戦略として格上げする」と宣言したのを受けて,2015年1月に国家戦略としての認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)が発表された1).本戦略の対象期間は2025年までであるが,2017年度末を当面の目標設定年度として具体的な数値目標を示している.
 新オレンジプランの基本的な考え方は,認知症の人が認知症とともによりよく生きていくことができるよう,「認知症の人の意思が尊重され,できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指す」であり,本人の意思が尊重されて自分らしく〈尊厳保持〉と,地域の中で暮らし続ける〈地域包括ケア〉がキーワードになっている.また,医療機関や施設に入り続けるのではなく,適切な医療やリハビリで退院・退所して,その後も適切なサービスが提供される〈循環型の仕組み〉を推奨している.筆者は,循環型という言葉に,「精神科病院を認知症の人の終の棲家にしない」という思いが込められていると考えている.新オレンジプランには7つの柱(表1)がある.本稿ではその①〜⑦の柱について解説・コメントするとともに,認知症の予防施策についての見解を述べる.

参考文献

1)厚生労働省ホームページ:「認知症施策推進総合戦略〜認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて〜(新オレンジプラン)」について.(2015年1月27日発表) http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000072246.html
2)山口晴保(編著):認知症の正しい理解と包括的医療・ケアのポイント.第3版,協同医書出版社,2016
3)Buckley JS, Salpeter SR:A Risk-Benefit Assessment of Dementia Medications:Systematic Review of the Evidence. Drugs Aging 32(6):453-467, 2015
4)朝田隆(研究代表者):都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応.厚生労働科学研究費補助金(認知症対策総合研究事業)平成23〜24年度総合研究報告書,2013.3
5)山口晴保:認知症予防—読めば納得! 脳を守るライフスタイルの秘訣.第2版,協同医書出版社,2014
6)Alzheimer's Association:2015 Alzheimer's Disease Facts and Figures. https://www.alz.org/facts/downloads/facts_figures_2015.pdf
7)Barendregt JJ, et al:The health care costs of smoking. N Engl J Med 337(15):1052-1057, 1997
8)由利組合総合病院:秋田の脳卒中—脳卒中発症登録でわかること.2013 日本脳卒中協会ホームページ(http://www.jsa-web.org/book/booklet.html)よりPDFをダウンロード可能

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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