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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生80巻9号

2016年09月発行

文献概要

特集 災害時の公衆衛生活動

大規模災害時の公衆衛生活動と被災地支援の到達点

著者: 金谷泰宏1 鶴和美穂2

所属機関: 1国立保健医療科学院 健康危機管理研究部 2独立行政法人 国立病院機構災害医療センター 臨床研究部

ページ範囲:P.636 - P.642

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 阪神・淡路大震災(1995年)では,災害医療への対応がクローズアップされ,その後の災害派遣医療チーム(DMAT)の創設,広域災害救急医療情報システム(EMIS)の整備につながった.一方で,東日本大震災(2011年)では,避難生活の長期化に伴う健康影響への対応が課題とされた.このため地域保健法に基づく「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」(以下,基本指針)の改正(2012年)の中で,大規模災害時の公衆衛生活動として,「被災地域の情報収集」と「医療連携・保健活動の全体調整,保健活動の支援・受援」が取り上げられた.その後の災害対策基本法の改正(2014年)では,避難所への保健医療サービスの提供が明記されたところである.しかしながら,被災地支援のあり方については必ずしも自治体間で一致しているわけではなく,その標準化が課題とされた.
 そこで,2014年に全国衛生部長会災害時保健医療活動標準化検討委員会が設置され,被災地支援の到達点の一つとして,地震,津波,火山噴火,台風等の自然災害時に伴う重大な健康危機発生時における保健医療活動に関し,自治体間の応援を効果的に行うための組織として,「災害時健康危機管理支援チーム(Disaster Health Emergency Assistance Team;DHEAT)」が提案された.

参考文献

1)Uchimura M, et al:Impact of the 2011 Great East Japan Earthquake on community health:ecological time series on transient increase in indirect mortality and recovery of health and long-term-care system. J Epidemiol Community Health 68(9):874-882, 2014
2)上原鳴夫:災害のサイクルと災害時の公衆衛生の役割.國井修(編):災害時の公衆衛生.南山堂,2012, pp21-35
3)平成26年度厚生労働科学研究費補助金地球規模保健課題推進研究事業「災害における公衆衛生的な活動を行う支援組織の創設に係る研究」(研究代表者:高野健人・東京医科歯科大学教授)研究報告書.2015
4)全国衛生部長会災害時保健医療活動標準化検討委員会中間報告,2016年1月18日
5)金谷泰宏:災害における公衆衛生活動の支援体制.武藤孝司,他(編):公衆衛生領域における連携と協働〜理念から実現に向けて〜.日本公衆衛生協会,2015, pp161-170
6)金谷泰宏,他:災害時における保健所職員の健康危機管理能力強化に向けた教育と訓練.日本集団災害医学会誌20(2):255-261, 2015
7)Mizushima H, et al:World Disasters Report:Focus on technology and the future of humanitarian action. International Federation of Red Cross and Red Crescent Societies(IFRC) 2013, pp81-83
8)仙台防災枠組 2015-2030(骨子) http://www.gender.go.jp/policy/saigai/pdf/sendai_framework_relation.pdf
9)石井正:石巻赤十字病院の東日本大震災対応の経験から見えてきた大災害時における被災地域の保健医療福祉提供体制のあり方.保健医療科学62(4):374-381, 2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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