icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生80巻9号

2016年09月発行

文献概要

特集 災害時の公衆衛生活動

災害時の保健師の健康支援活動の発展と現在の課題

著者: 奥田博子1

所属機関: 1国立保健医療科学院 健康危機管理研究部

ページ範囲:P.658 - P.663

文献購入ページに移動
 全国初の被災地外の自治体保健師による派遣支援が行われた1995年の阪神・淡路大震災から20年以上の月日が経過した.その後も,各地で頻発する災害時において,保健師による健康支援活動は定着したものとなってきている.しかし,2011年に発災した東日本震災は複数の県下に及ぶ広域災害であり,被災自治体の中には機能不全となったところもあった.また,福島県の原発事故の影響という未経験の対応に迫られ,5年が経過した今もなお,長期派遣を含めた支援が続けられている.
 さらに,本年4月14日に発生したマグニチュード(M)6.5の熊本地震は,九州地域では初めての最大震度7の地震であった.初動対応を開始した2日後に,M7.3の本震に見舞われ,より深刻な被害の拡大をもたらし,熊本県,熊本市から国への保健師派遣の要請に基づいて1日当たり最大69チームの派遣保健師チームが,避難所対応をはじめ,要支援者調査や戸別訪問,役場の本庁や保健所の支援等,被災自治体のニーズに応じて活動を継続中である(5月末時点).

参考文献

1)yomiuri on line. 2016.5.13記事「熊本地震避難所,感染症疑い100人超す…ノロウイルスやインフルなど」 https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20160513-OYTET50019/
2)日経メディカル2016.4.19記事「速報◎2016年熊本地震 車中泊の28人が肺塞栓症に,うち2人死亡」 http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/hotnews/int/201604/546608.html
3)新潟県防災局危機対策課:新潟中越沖地震.平成21年3月6日,p74, p240
4)宮﨑美砂子(分担事業者):平成24年度地域保健総合推進事業「被災地への保健師の派遣の在り方に関する検討会」報告書.日本公衆衛生協会,平成25年3月
5)平野かよ子:公衆衛生における保健師のアイデンティティ.公衆衛生79(1):14-17, 2015
6)宮﨑美砂子,他:厚生労働科学研究費補助金事業.平成23年度分担研究報告書.東日本大震災被災地の地域保健基盤の組織体制のあり方に関する研究.2012.3, p21
7)厚生労働省:地域における保健師の保健活動について.記の3(抜粋)〈平成25年4月19日付健発0419第1号〉
8)前述6)pp14-15
9)高知県中土佐町:中土佐町南海地震時公衆衛生活動マニュアルVer.1. 2013.12.21. p.7 http://www.town.nakatosa.lg.jp/download/?t=LD&id=198&fid=964

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら