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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生80巻9号

2016年09月発行

文献概要

特集 災害時の公衆衛生活動

岩手県沿岸被災地・応急仮設住宅の現状と今後の街づくりの課題

著者: 久保慶祐12

所属機関: 1岩手県 釜石保健所 2岩手県 大船渡保健所

ページ範囲:P.670 - P.676

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仮設住宅:依然として大きな被災地の課題
 今年の4月に発生した熊本地震は地域の家屋に大きなダメージを残し,応急仮設住宅の建設が急がれている.5年前の2011年に発生した東日本大震災津波の爪あとは依然として地域で大きく,2016年5月末現在,岩手県全体で21,973人の方が仮設住宅で生活しており,なかでも大槌町(人口12,395人)では2,596人,陸前高田市(人口20,199人)では2,875人もの被災者が,想定された使用期間(2年間)を大幅に超えて仮設住宅で生活している(2016年1月1日現在の住民基本台帳人口,2016年5月31日現在,岩手県復興局調べ).災害公営住宅や高台移転への転居も始まっているが,例えば陸前高田市は2018年度末までに現在の47の仮設団地を19か所に集約すると表明しており,今後さらに3年以上仮設住宅住まいを余儀なくされる人々がいることになる.
 多くの仮設住宅は医療アクセスが悪く,生活面でも利便性の悪い地区に立地している.長期化した仮設住宅での生活が住民の身体的・精神的・社会的な健康状態にどういう影響を与えているのかを明らかにするために,岩手県釜石保健所および大船渡保健所において仮設住宅住民の聞き取り調査とアンケート調査を行った.

参考文献

1)久保慶祐,他:平成27年度地域保健総合推進事業(全国保健所長会協力事業)「東日本大震災後の公衆衛生上の課題への対応(応急仮設住宅長期居住者の健康調査)」報告書,日本公衆衛生協会,2016
2)辻一郎:〈INTERVIEW〉東日本大震災健康調査から考える今後の被災地支援「喪失体験,失業,孤立に被災者は苦しんでいる」.日本医事新報4569:18-21, 2011
3)小林誠一郎,坂田清美,他:厚生労働科学研究費補助金(健康安全・危機管理対策総合研究事業)「岩手県における東日本大震災被災者の支援を目的とした大規模コホート研究」班 平成27年度 総括・分担研究報告書,2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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