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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生81巻10号

2017年10月発行

文献概要

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著者: 阿彦忠之

所属機関:

ページ範囲:P.866 - P.866

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 薬剤耐性菌の大部分が医療現場における抗菌薬の過剰投与や不適切使用によって出現していることは,古くから認識されていました.新たな抗菌薬を開発しても,それに対する微生物側の進化(耐性化)との“いたちごっこ”になることは分かっていても,医療関係者は,微生物よりも人類の能力のほうが高いと信じ,将来も何とかなると考えてきたために,抗菌剤の適正使用が進まなかったのかも知れません.また,受診者側も,「ウイルス性の風邪なので解熱剤だけで大丈夫です」と説明する医師よりも,「抗菌薬も処方しておきますね」と言ってくれる医師を信頼する傾向が残念ながら根強く残っているため,適切使用が進まなかったという事情もあると思います.
 しかし,特集内で世界保健機関西太平洋地域事務局の葛西健先生が指摘されているように,21世紀に入って新規の抗菌薬の開発と市場投入が急減し,その枯渇さえも懸念されています.これまでの楽観的な考えを今すぐ捨てて世界的なAMR対策を急がなければ,“抗菌薬のなかった時代に逆戻りする”という脅威が現実になります.これを,医療および公衆衛生関係者はもちろん,国民に広く周知する必要があると感じました.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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