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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生81巻11号

2017年11月発行

文献概要

視点

もっと運動器の健康を—公衆衛生の視点から

著者: 西脇祐司1

所属機関: 1東邦大学医学部社会医学講座衛生学分野

ページ範囲:P.868 - P.869

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超高齢社会における運動器の健康の重要性
 本稿を書き始めようと机に座ったところ,NHKで「2065年の人口推計は8800万人まで減少する」というニュース報道を行っていた.国立社会保障・人口問題研究所の最新推計に基づくものであり,65歳以上の高齢者の割合を示す高齢化率は,2015年の26.6%から,2065年には38.4%にまで上昇するとしている.また,平均寿命(0歳の平均余命)は,男性が2015年の80.75歳から2065年には84.95歳に,女性は86.98歳から91.35歳に延びる見込みという内容であった.ことさら耳新しいニュースではないものの,超高齢社会に役立つ疫学的知見を得ようと研究してきた筆者にとっては,こうしてあらためて数字を出されると,やはり気にはなる.
 超高齢社会であるわが国においては,健康寿命の延伸が最重要な関心事といっても過言ではない.医療の進歩によって,助からない命が助かる時代になったことはまことに喜ばしいことではあるが,裏を返せば慢性疾患有病者が増加し,人は皆ある程度の疾病・障害を抱えながら生きていく時代になったともいえる.

参考文献

1)Vos T, et al:Years lived with disability(YLDs)for 1160 sequelae of 289 diseases and injuries 1990-2010:a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2010. Lancet:380:2163-2196, 2012
2)厚生労働省大臣官房統計情報部社会統計課国民生活基礎調査室:平成25年国民生活基礎調査の概況.http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa13/dl/16.pdf
3)Nakamura M, et al:Prevalence and characteristics of chronic musculoskeletal pain in Japan. J Orthop Sci16:424-432, 2011
4)中村耕三,他:ロコモティブシンドロームの概念とフレイル,サルコペニアとの関連性.日臨73:1746-1753, 2015
5)Kamitani K, et al:Spinal posture in the sagittal plane is associated with future dependence in activities of daily living:a community-based cohort study of older adults in Japan. J Gerontol A Biol Sci Med Sci 68:869-875, 2013
6)西脇祐司,他:介護予防と脊柱後彎姿勢.整・災外55:1651-1657, 2012
7)日本学術会議臨床医学委員会運動器分科会:提言 超高齢社会における運動器の健康—健康寿命延伸に向けて.http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-22-t195-5.pdf

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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