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もっと運動器の健康を—公衆衛生の視点から
著者: 西脇祐司1
所属機関: 1東邦大学医学部社会医学講座衛生学分野
ページ範囲:P.868 - P.869
文献購入ページに移動本稿を書き始めようと机に座ったところ,NHKで「2065年の人口推計は8800万人まで減少する」というニュース報道を行っていた.国立社会保障・人口問題研究所の最新推計に基づくものであり,65歳以上の高齢者の割合を示す高齢化率は,2015年の26.6%から,2065年には38.4%にまで上昇するとしている.また,平均寿命(0歳の平均余命)は,男性が2015年の80.75歳から2065年には84.95歳に,女性は86.98歳から91.35歳に延びる見込みという内容であった.ことさら耳新しいニュースではないものの,超高齢社会に役立つ疫学的知見を得ようと研究してきた筆者にとっては,こうしてあらためて数字を出されると,やはり気にはなる.
超高齢社会であるわが国においては,健康寿命の延伸が最重要な関心事といっても過言ではない.医療の進歩によって,助からない命が助かる時代になったことはまことに喜ばしいことではあるが,裏を返せば慢性疾患有病者が増加し,人は皆ある程度の疾病・障害を抱えながら生きていく時代になったともいえる.
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