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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生81巻11号

2017年11月発行

文献概要

特集 薬局・薬剤師の地域展開—コミュニティ・ファーマシー

残薬と医薬品の適正利用支援プログラム—諸外国のブラウンバッグ運動から学ぶこと

著者: 赤沢学1

所属機関: 1明治薬科大学公衆衛生・疫学研究室

ページ範囲:P.928 - P.932

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はじめに
 かかりつけ薬剤師に期待される業務として“服薬情報の一元的・継続的把握とそれに基づく薬学的管理・指導”がある1).そして,患者が服用している薬剤などを把握する手法の一つとして注目されているのが“ブラウンバッグ運動”である.これは1980年代に米国で始まったもので,患者が薬剤などを茶色い紙袋に入れて薬局に持って行き,その内容を薬剤師が確認することから名付けられた2).筆者が参加する研究グループでは,日本薬剤師会の支援を受けて,2009年から全国各地の自治体,薬剤師会,薬局グループなどと協力して,この運動を行っている.詳細は高齢者薬物治療適正化研究グループのホームページ3)を参照いただきたい.
 本稿では,米国や他の先進国で実施されている薬剤師による薬剤調査(medication review),ならびに国内で行われたブラウンバッグ運動から学んだことを中心にして,医薬品の適正利用を推進するために薬剤師として何をすべきかを述べる.

参考文献

1)厚生労働省:平成28年度診療報酬改定について.http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000106421.html
2)Nathan A, et al:‘Brown bag’ medication reviews as a means of optimizing patients' use of medication and of identifying potential clinical problems. Family Practice 16:278-282, 1999
3)高齢者薬物治療適正化研究グループ:ブラウンバッグ運動.http://brownbag.umin.jp
4)Pellegrino AN, et al:Medication therapy management services:definitions and outcomes. Drugs 69:393-406, 2009
5)The American Pharmacists Association and the National Association of Chain Drug Stores Foundation:Medication Therapy Management in Pharmacy Practice:Core Elements of an MTM Service Model Version 2.0. March 2008. https://www.pharmacist.com/sites/default/files/files/core_elements_of_an_mtm_practice.pdf
6)Christensen DB, et al:Evaluation of a pilot medication therapy management project within the North Carolina State Health Plan. J Am Pharm Assoc(2003)47:471-483, 2007
7)Okada H, et al(ed):Community Pharmacy:An International Comparison. Nova Science Publications, New York, 2016
8)Hatah E, et al:A systematic review and meta-analysis of pharmacist-led fee-for-services medication review. Br J Clin Pharmacol 77:102-115, 2014
9)赤沢 学,他:英国における地域薬剤師の高度業務から学ぶブラウンバッグ運動の新しい方向性—リスクコミュニケーションへの応用.医薬品情報学14:69-74, 2012
10)Pharmaceutical Services Negotiating Committee. PSNC Briefing 016/14:Advanced Services(MURs and the NMS). http://psnc.org.uk/wp-content/uploads/2014/09/PSNC-Briefing-016.14-Settlement-Advanced-Services-Sept-2014.pdf
11)Akazawa M, et al:Drug utilization reviews by community pharmacists in Japan:Identification of potential safety concerns through the Brown Bag program. Value in Health Regional Issues 1:98-104, 2012
12)赤沢 学:米国における持参薬管理—ブラウンバッグ運動と日本への導入.薬事52:849-853, 2010
13)金澤幸江,他:ブラウンバッグ運動からの医薬品適正処方・適正使用へのアプローチ.秋下雅弘(編著):高齢者のポリファーマシー 多剤併用を整理する「知恵」と「コツ」.pp219-226,南山堂,2016
14)小栁香織,他:節薬バッグ運動 外来患者の残薬の現状とその有効活用による医療費削減の取り組み.薬誌133:1215-1221, 2013
15)厚生労働省:患者のための薬局ビジョン—「門前」から「かかりつけ」,そして「地域」へ. http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/vision_1.pdf
16)所沢市:節薬バッグ事業を実施します!. http://www.city.tokorozawa.saitama.jp/kurashi/kenkouhoken/kokuho/hokenjigyo/setuyakubag.html

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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