icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生81巻12号

2017年12月発行

文献概要

連載 ポジデビを探せ!・13

ポジデビとソーシャル・チェンジ—起こす変化vs.起こる変化

著者: 神馬征峰1

所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科・国際地域保健学教室

ページ範囲:P.1019 - P.1025

文献購入ページに移動
はじめに
 ポジデビは行動変容の手段として有効である.一方,ポジデビには社会変革のツールとしての顔もある.前号(81巻11号)ではArvind Singhal氏の経験をもとに,その重要性に注目した.ここでさりげなく社会変革としたが,元の言葉はSocial changeである.本稿ではそれを原則カタカナ書きのソーシャル・チェンジとしたい.
 ソーシャルは“社会”としてよい.やっかいなのはチェンジである.これは日本語では“変化”とも“変革”とも訳せる.社会変化も社会変革も日本語として定着している.“変化”はある状態が性質を変えてしまうこと.一方“変革”には過去を切り捨て新たなものを創造するというニュアンスがある.ソーシャル・チェンジは,コンテキストに応じて社会変化とも社会変革とも訳せる.
 “ポジデビで社会変革を”とすると,何やら行動変容と同じように,“計画的に新たな社会を創造しよう”といったニュアンスが感じ取れる.ところがポジデビ・アプローチにおいては,“社会を変える”というよりも,そのプロセスにおいて“社会が変わる”という事態が生じる.そのため,社会変革と言い切るよりも,現段階ではソーシャル・チェンジとしておきたい.
 本稿の前半では“社会が変わった事例”としてパキスタンの事例を紹介する.後半では,社会学・心理学におけるソーシャル・チェンジの捉え方を紹介し,そこにポジデビがどのように位置づけられうるかを示したい.

参考文献

1)モニク・スターニン,他:ポジデビ・アプローチ:これまでの経緯,日本での実践,そして今後の展望.公衆衛生81:350-354, 2017
2)de la Sablonnière R:Toward a Psychology of Social Change:A Typology of Social Change. Front Psychol 8:397, 2017
3)神馬征峰:ポジデビ・アプローチとは何か.公衆衛生80:853-858, 2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら