公衆衛生81巻2号

2017年02月発行

特集 人に死を招く動物—人・昆虫・寄生虫

殺人と傷害の衛生統計学

著者： 綿引信義¹

所属機関： ¹国立保健医療科学院国際協力研究部

ページ範囲：P.114 - P.120

　平成27年(2015)国勢調査の集計結果によると，外国人を含むわが国の総人口は大正9年(1920)の調査開始以来，初めて減少した．日本人人口は1億2428万4千人で2010年と比べると，107万5千人の減少となるが，75歳以上人口(1612万人)は，15歳未満の年少人口(1588万人)を上回り，超少子高齢社会が進行している．65歳以上人口(3346万5千人)のうち単独世帯人口は592万8千人で，高齢者人口に占める割合は17.7%であった．
　続いて，平成26年(2014)の人口動態統計をみると，死亡数は127万3004人で死亡率(人口千対)は10.1であった．死因順位は悪性新生物，心疾患，肺炎，脳血管疾患，老衰と続き，外因死となる交通事故を含む不慮の事故が第6位に入っている．不慮の事故における交通事故の占める割合は14.6%を示しているが，死亡数は減少するとともに占める割合も小さくなってきている．交通事故と同様，外因死に分類されるヒトの加害による死亡である他殺者数も，近年，減少している．

参考文献

1)世界交通安全委員会レポート「道路を安全なものに(Make Roads Safe)—交通安全のための行動の10年—」．2009

2)世界交通安全委員会レポート「すべての人に安全な道路を—健康と開発に関するポスト2015年問題—」．2013

3)WHO:World health statistics 2016:monitoring health for the SDGs

4)平成27年度版死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル

5)中根憲一：我が国の検死制度—現状と課題—．レファレンス673:96-124, 2007

6)京都府医師会死因究明制度のあり方に関する検討委員会：医療現場における死因究明制度のあるべき姿．平成24年3月

7)吉田謙一，辻村貴子：日本の死因究明制度．東京大学法科大学院ローレビューVol.5, 2010

8)内閣府：平成27年交通安全白書．2015

9)WHO:Global Status Report on Road Safety 2015

10)WHO:Global Status Report on Road Safety 2013

11)警察庁：平成26，27年の犯罪情勢．平成28年7月

12)法務省：平成27年版犯罪白書．平成27年11月

13)UNODC(United Nations Office on Drugs and Crime):Global Study on Homicide 2013

14)UNODC:International Classification of Crime for Statistical Purposes(ICCS). Version 1.0, 2015

15)Pettersson T and Wallensteen P:Armed conflicts, 1946-2014. Journal of Peace Research 52(4):536-550, 2015

16)Melander E:Organized Violence in the World 2015-An assessment by the Uppsala Conflict Data Program. UCDP Paper No. 9

17)National Consortium for the Study of Terrorism and Responses to Terrorism:Overview:Terrorism in 2014. Background Report, START, 2015

18)National Consortium for the Study of Terrorism and Responses to Terrorism:, Country Reports on Terrorism 2015. START, 2016