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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生81巻2号

2017年02月発行

文献概要

特集 人に死を招く動物—人・昆虫・寄生虫

カタツムリ・ナメクジ・イヌ・ネコ・アライグマ・キタキツネ—寄生虫:広東住血線虫・回虫・エキノコックス

著者: 三島伸介12

所属機関: 1関西医科大学公衆衛生学講座 2関西医科大学総合医療センター海外渡航者医療センター

ページ範囲:P.147 - P.153

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 人の健康に病害をもたらす寄生虫は数多く知られており,その病害程度も軽症から重症まで多岐にわたる.わが国では1994年に寄生虫病予防法が廃止され,寄生虫有病率も極めて低い水準で昨今は推移しているものの,年間1,600万人前後の邦人が海外渡航している現状を考慮すると,海外での寄生虫感染の危険性や輸入感染症としての寄生虫感染症については,やはり十分な認識を持っておくことが望ましい.日本国内であっても,場所や地域によっては身近に潜んでいる動物が媒介者となる寄生虫と遭遇する可能性があったり,また海外渡航先において思わぬ場面で寄生虫感染と遭遇したりする場合もあり,国内のみならず海外での寄生虫ならびに媒介動物の分布状況について理解を深めておくことは重要である.また,森林開拓や都市化整備などに伴って人の生活圏とは離れていたり接触経路がなかったような動物が,人の生活圏に流入するケースもみられており,今一度動物と人との関わりで生じ得る疾病について見直しておくことが大切である.
 数ある寄生虫の中でも動物に由来する感染により致死的となり得る寄生虫として本稿では広東住血線虫,各種回虫,エキノコックスについて的を絞り記述する.

参考文献

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4)西村謙一:広東住血線虫症—脳を侵す寄生虫病.医学のあゆみ211(2):200-204, 2004
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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