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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生81巻3号

2017年03月発行

文献概要

特集 がん対策の加速化

小児・AYA世代のがん対策の課題と展望

著者: 堀部敬三1

所属機関: 1国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター

ページ範囲:P.234 - P.241

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 小児および思春期・若年成人(adolescent and young adult;AYA)世代は,がんの罹患および死亡率が最も低い世代であるが,死因順位ではがんは病死の第一位で自殺や不慮の事故に次いで多い.小児がんの治療は,この40年間に飛躍的な進歩を遂げ,80%の患者で治癒が期待できるようになったが,長期生存者が増えるにつれ,長期的な影響が明らかになり,晩期合併症の予防や治療の対策が求められている.一方で,いまだ難治のがんも数多くあり,それらの病態解明や治療開発も待たれる.こうした中,2012(平成24)年6月に第2期がん対策推進基本計画において小児がんが重点項目の一つとなり1),2013(平成25)年2月に小児がん拠点病院15機関,2014(平成26)年2月に小児がん中央機関2機関が指定された.このように,小児がん医療の体制整備が開始され,治療開発の研究も推進されている.
 一方,AYA世代のがんは,欧米において治療成績の改善が乏しいとされ,その背景にあるAYA特有の心理・社会的要因を踏まえたがん対策が進められている.わが国では,2015(平成27)年6月に策定された「今後のがん対策の方向性について〜これまで取り組まれていない対策に焦点を当てて〜」の中でAYA世代のがん対策の必要性が指摘され2),同年12月のがん対策加速化プランへの提言において「小児・AYA世代のがん対策」が柱の1つに掲げられた3).本稿では,これらを踏まえて,わが国の小児・AYA世代のがん対策のあり方について論考する.

参考文献

1)厚生労働省:がん対策推進基本計画(平成24年6月).http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/gan_keikaku02.pdf
2)厚生労働省,他:今後のがん対策の方向性について〜これまで取り組まれていない対策に焦点を当てて〜(平成27年6月).http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000115921.pdf
3)がん対策推進協議会:がん対策加速化プランへの提言(平成27年12月).http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000106059.pdf
4)若尾文彦:小児がん中央機関としての国立がん研究センターの活動「小児がん登録支援」について.http://ganjoho.jp/child/professional/advisory_board/20150331.html
5)国立がん研究センターがん対策情報センター:全国がん罹患モニタリング集計2012年罹患数・率報告(平成28年3月).pp62-67
6)厚生労働科学研究費補助金第3次対がん総合戦略研究事業「がん対策推進基本計画とがん診療連携拠点病院の小児がん診療体制への適用に関する研究」平成23年度〜25年度総合研究報告書(研究代表者 原純一).平成26年3月.
7)厚生労働科学研究費補助金がん対策推進総合研究事業「総合的な 思春期・若年成人(AYA)世代のがん対策のあり方に関する研究」平成27年度総括・分担研究報告書(研究代表者 堀部敬三).平成28年3月.
8)堀部敬三:総合的なAYA世代のがん対策のあり方に関する研究.平成28年度厚生労働科学研究がん政策総合研究事業研究成果発表会(研究者向け)抄録集.p49-52,平成29年1月
9)Dang-Tan T, et al:Delays in diagnosis and treatment among children and adolescents with cancer in Canada. Pediatr Blood Cancer 51:468-474, 2008
10)Furui T, et al:An evaluation of the Gifu Model in a trial for a new regional oncofertility network in Japan, focusing on its necessity and effects. Reprod Med Biol 15:107-113, 2016
11)文部科学省初等中等教育局特別支援教育課長:病気療養児に対する教育の充実について(通知)24初特支第20号(平成25年3月4日).
12)樋口明子:がん患者や家族の就労をめぐる政策.保健の科学58:4-10,2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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