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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生81巻5号

2017年05月発行

文献概要

特集 眼の健康とQOL

視覚障害者のQOLと包括的な支援

著者: 井上馨1

所属機関: 1北海道大学大学院保健科学研究院生活機能学分野

ページ範囲:P.403 - P.408

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統括的な支援の意義
 視覚障害者のQOLを考える場合,病気の予防,医学的治療,リハビリテーションの全ての段階がQOLの改善に関与していることは広く認められるところであろう.これに加えて障害により壊れた生活を再構築して社会生活を回復することまでを含めた包括的な支援をすることがQOLの改善につながると思われる.視覚は生きていくために必要な外界から得られる情報の大きな部分を担っているため,視覚の障害は大きなQOLの低下をもたらす.しかし,視覚以外の機能はそのままの形で残存しているため,適切な支援をすることで視覚障害者のQOLの改善が期待される.本稿では日本での中途失明原因の第1位を占める緑内障を中心に,予防や治療の新しい試みを概説し,生活の再構築へ向かう視覚障害者の代表的な例を紹介し,包括的なサポートの意義や問題点を論じる.

参考文献

1)Nakayama M, et al:Neuroprotective effects of flavonoids on hypoxia-, glutamate-, and oxidative stress-induced retinal ganglion cell death. Mol Vis 17:1784-1793, 2011
2)Fujikawa K, et al:VAV2 and VAV3 as Candidate Disease Genes for Spontaneous Glaucoma in Mice and Humans. PLoS ONE 5:e9050, 2010
3)Fujikawa K, et al:Characterization of RGC death in Rho-GTPases activating proteins Vav proteins, deficient mice. 2015 ARVO, Denver USA, 2015
4)Vetrugno M, et al:Oral administration of forskolin and rutin contributes to intraocular pressure control in primary open angle glaucoma patients under maximum tolerated medical therapy. J Ocul Pharmacol Ther 28:536-541, 2012
5)Brown GC:Vision and quality-of-life. Trans Am Ophthalmol Soc 97:473-511, 1999
6)相原一,他:緑内障研究へのマウスの応用—眼圧および網膜神経節細胞障害機序の解明を目指して.日眼会誌114:217-247, 2010
7)池田歩,他:重症心身障害児(者)を対象とした大脳性視覚障害重症評価スケールの開発.日重症心身障害会誌39:397-404, 2014
8)井上馨:アイの広場.http://www.hs.hokudai.ac.jp/vision/index.html
9)稲垣侑士,他:意味記憶障害を伴った知覚型視覚性失認例に対するリハビリテーションの効果.高次脳機能研31:8-18, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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