文献詳細
特集 食中毒の新たな課題
新しい食中毒
文献概要
はじめに
エシェリキア・アルバーティー(Escherichia albertii;E. albertii )は,2003年に新種として承認された菌種で,エシェリキアという名前は大腸菌(エシェリキア・コリ;Escherichia coli )の仲間であることを示している.元々バングラデシュ人民共和国の小児の下痢便から見つかった菌種であり,ヒトに下痢などを引き起こす病原菌であると考えられている1).国内では,2011年11月に秋田県で発生した食中毒疑い事例の検査の過程で,この菌が検出され,翌年,その際の検査法の詳細が国立感染症研究所発刊のJpn J Infect Dis誌に2),事例の概要が病原微生物検出情報に掲載された3).これらの報告を契機に,日本国内においてもE. albertii の存在が知られるようになった.その後,過去の食中毒の原因菌の再調査などによって,少なくとも2003年には国内でE. albertii による食中毒が発生していたことが明らかになっている4).現在では,この菌を原因とする集団食中毒の発生が国内でも複数確認されている.
本稿では,公衆衛生上の新たな脅威となっているE. albertii について,その特徴や国内での食中毒や集団感染の発生状況について紹介するとともに,本菌の感染源や治療,行政上の取り扱いといった公衆衛生に関わる課題について解説する.
エシェリキア・アルバーティー(
本稿では,公衆衛生上の新たな脅威となっている
参考文献
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20)荒川英二:細菌性赤痢とは.http://www.nih.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/406-dysentery-intro.html
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